建設業向けファクタリング会社14社を比較|注文書対応・個人事業主・手数料【2026年11月】

建設業で使うファクタリング会社は、「注文書の段階で使いたいか」「元請けに知られずに使いたいか」「法人か個人事業主か」の3つで選ぶ会社が変わります。

とくに大きいのは1つ目です。
工事が終わって請求書を出した後の工事代金なら、多くの会社が買取の対象にしています。
一方で、工事を始める前の注文書の段階で買い取る会社は限られます。注文書の段階で使えても、法人だけを対象にしていたり、受注金額の一部までにしていたりと、条件が付くこともあります。

  • ① 注文書の段階で使いたいか、請求書を出した後でよいか(注文書で使える会社は限られる)
  • ② 元請けに知られずに使いたいか(知られたくないなら2社間。元請けの承諾を前提にした仕組みの会社もある)
  • ③ 法人か、個人事業主(一人親方)か(法人だけを対象にしている会社がある)

この記事では、建設業向けの記載があるサービスを中心にしたファクタリング会社13社と、この記事を作成しているえんナビの条件を、各社の公式サイトの文をもとに一覧にしました(2026年11月3日確認)。

この記事は、ファクタリングサービス「えんナビ」を運営する株式会社インターテックが作成しています。比較表にはえんナビも含まれています。

参照ファクタリングとは?しくみ・2社間と3社間・注意点 

建設業向けファクタリング会社14社の比較表

表の先頭は、この記事を作成しているえんナビです。その下は、建設業専門のサービス5つ、建設業に限らないサービス8つの順で、それぞれ五十音順に並べています。おすすめ順ではありません。

表は各社の公式サイトの文をもとにしています。公式サイトに書いていないことは「記載なし」とし、推測で「対応」とは書いていません。
スマホでは、表を横にスクロールすると右の列まで見られます。

会社・サービス名注文書の段階2社間・3社間個人事業主手数料(公式の表記)買取額最短入金(公式の表記)
この記事の運営会社
えんナビ行っていない(請求書を出した工事代金が対象)どちらも対応利用できる—50万円〜5,000万円—
建設業専門のサービス(五十音順)
けんせつくん使える(受注時の注文書でも可)運営会社ウィットのサイトに、2社間・3社間とも対応と記載利用できる2%〜記載なし最短2時間
建設サイト早払い対象外(発注元の検収が終わった代金だけが対象)3社間(発注元会社の利用登録と承諾が必要)対象外(「建設サイト・シリーズ」を契約している法人のみ)入金までの期間で変わる(30日以内は1〜3%など)請求額30万円(税込)以上記載なし(審査は即日〜3営業日が原則)
建設Pay使える(注文書のみでも契約可)どちらも対応建設業者なら相談に応じると記載1%〜最大1億円最短1時間
JBL(建設業向けファクタリング)記載なしどちらも対応対象外(設立1年未満の法人も対象外)2%〜14.9%即日対応の上限は5,000万円最短即日
土建くん使える(注文書・請書でも可)どちらも対応利用できる1.8%〜記載なしサイトにより「最短即日60分」、「最短即日」と異なる
建設業に限らないサービス(五十音順)
QuQuMo記載なし(請求金額と入金日が確定した請求書が対象)2社間利用できる1%〜上限なし最短2時間(書類がそろっている場合)
GMO BtoB早払い使える(受注金額の最大50%まで)2者間(取引先への通知は原則不要)対象外(法人のみ)注文書2〜12%、請求書1〜10%ページにより「1回100万円〜5,000万円が目安」、「1回の合計100万円以上(スポットタイプは300万円以上)」と異なる最短2営業日
トップ・マネジメント使える(設立半年以上・月商500万円以上の法人のみ)どちらも対応利用できる(建設業向けページに記載)。注文書の段階は法人のみ2社間3.5%〜、3社間0.5%〜30万円〜3億円(売掛先1社あたり上限1億円)最短即日
No.1記載なし2社間に対応と記載「法人様専用」と記載(申込フォームには個人事業主の選択肢あり)0.5%〜50万円〜3億円(それ以上は相談)最短30分(オンライン契約)
日本中小企業金融サポート機構対象外(すでに仕事が完了している売掛金が対象とよくある質問に記載)どちらも対応(利用事例に両方あり)売掛先が法人なら利用できる1.5%〜下限・上限なし最短3時間
ビートレーディング使えるどちらも対応利用できる(売掛先が個人事業主の売掛金は対象外)平均で2者間10.3%、3者間6.8%(2024年度実績)ページにより「無制限(1万円〜7億円の買取実績)」、「300万〜30億円(法人・高額)」と異なる最短2時間(300万円未満は、ページにより「最短50分」、「最短1時間以内」と異なる)
PMG記載なしどちらも対応利用できるページにより「買取率98%(売買手数料2%)」、「掛け目は通常97〜92%(2社間は低めの場合あり)」と異なるページにより「上限なく」、「50万円〜上限なし」と異なる最短30分(平均は3日ほど)
ベストファクター使える(注文書・受注書)どちらも対応利用できる2%〜(金額帯の目安は2社間2〜20%、3社間2〜15%)ページにより「10万円〜1億円超」、「30万円以上、売掛先1社につき1億円まで(それ以上も相談可)」と異なる2社間は最短6時間、3社間は数日〜1週間程度
各社の公式サイトで確認した日 2026年11月3日

各社の公式サイトのURLは、記事の最後の「出典・参照」にまとめています。
「記載なし」は、確認したページに書かれていなかったという意味です。会社に問い合わせれば答えてもらえることもあります。
えんナビの手数料と入金までの時間はお申込み内容によって異なるため、表には載せていません。
「最短」の時間は、書類がそろっていて審査がすぐ始まった場合の目安です。申し込めば必ずその時間で入金されるという意味ではありません。
手数料の「〜%」は下限です。実際の手数料は、売掛先や入金日までの長さなどで決まります。

この表から分かること
  • 注文書の段階で使えると公式サイトに書いているのは、けんせつくん、建設Pay、土建くん、GMO BtoB早払い、トップ・マネジメント、ビートレーディング、ベストファクターの7つ。ただしトップ・マネジメントは法人だけ、GMO BtoB早払いは受注金額の最大50%まで
  • 建設サイト早払い、JBLの建設業向けファクタリング、GMO BtoB早払いは、個人事業主を対象外にしている
  • 建設サイト早払いは、自社で「3社間ファクタリング」と書いており、発注元会社が利用登録をして承諾する仕組み。元請けに知られずに使うものではない

比較サイトの中には「審査が甘い」、「誰でも通る」と書いているものもあります。この記事では、公式サイトに書かれていないこうした評価は載せていません。

注文書の段階で使いたい場合

工事を始める前に材料費や外注費が必要なら、注文書の段階で使えるかどうかが最初の分かれ目です。

上の表で「使える」と書いた7つが候補になります。
ただし同じ「注文書で使える」でも、条件が違います。

  • トップ・マネジメントの注文書の段階の買取(見積書・受注書・発注書ファクタリング)は、設立から半年以上、月商500万円以上の法人だけが対象で、個人事業主は利用できません
  • GMO BtoB早払いの注文書買取は、受注金額の最大50%までです。手数料も、請求書の買取(1〜10%)より注文書の買取(2〜12%)のほうが高く設定されています
  • ビートレーディングは、注文書の段階の買取に必要な書類を「注文書(発注書)」と「口座の入出金明細(直近3か月)」の2点としています

えんナビと建設サイト早払いは、注文書の段階の買取を行っていません。どちらも、工事が終わって請求書を出した後の代金が対象です。日本中小企業金融サポート機構も、よくある質問で「すでに仕事が完了している売掛金」を買取の対象としています。

元請けに知られずに使いたい場合

元請けに知られたくない場合は、元請けへの通知や承諾がいらない「2社間ファクタリング」に対応している会社を選びます。
表の中では、建設サイト早払い以外の会社が、2社間に対応していると書いています。

ただし、2社間であれば絶対に知られないわけではありません。
たとえば売掛金を譲ったことを登記する「債権譲渡登記」について、PMGとJBLは「原則必要だが、事情によっては留保できる」、GMO BtoB早払いは「原則登記はしていない」、QuQuMoとベストファクターは「不要」と、会社によって扱いが違います。
申し込む前に、登記をするかどうかを聞いておくと安心です。

参照2社間ファクタリングの仕組み 取引先に知られにくいが絶対ではない理由 

個人事業主(一人親方)が使いたい場合

一人親方を含む個人事業主の場合は、まず「個人事業主」の欄を見てください。

建設サイト早払い、JBLの建設業向けファクタリング、GMO BtoB早払いは、個人事業主を対象外にしています。No.1はサービスページに「法人様専用」と書いています。
トップ・マネジメントは、注文書の段階の買取は法人だけですが、建設業向けのページで「法人だけでなく個人事業主も利用でき」と書いています。

けんせつくん、土建くん、ビートレーディング、ベストファクター、QuQuMo、PMG、トップ・マネジメント(請求書の買取)は、個人事業主も利用できると書いています。日本中小企業金融サポート機構は「売掛先が法人なら」利用できるとしています。

参照個人事業主が使えるファクタリング会社14社比較 

この記事を作成しているえんナビでできること・できないこと

えんナビは、工事が終わって請求書を出した後の工事代金を買い取ります。注文書の段階での買取は行っていません。工事代金の入金より先に、材料費や外注費、給与の支払いが来る場合の相談先の1つになります。

  • 法人様から個人事業主様まで対応
  • 買取金額は50万円〜5,000万円
  • 2社間・3社間のどちらにも対応
  • ノンリコース契約(償還請求権なし)のため、元請けが払えなくなっても、代わりに払う必要はありません
  • お申込み・ご相談は24時間365日受付
  • 担保・連帯保証人は不要

手数料は売掛先やご利用条件によって異なるため、ここでは数字を載せていません。

買い取れるかどうかは、請求書の種類だけでは決めていません。
資料を拝見して、支払期日までに確実に入金されるかどうかで判断します。必要書類は、建設業でもほかの業種と同じです。

建設業のお客様向けの説明や、お客様の声は、えんナビの建設業のページにまとめています。

参照建設業ファクタリングの手数料・審査・必要書類(えんナビ) 

 

建設業のファクタリングについて話すB社長
現場は動いているのに、工事代金が入るのは何か月も先。そのあいだの材料費や職人さんへの支払いが重いんだ。請求書が手元にあるなら、いくら残るのかを先に聞いてみればいい。使うかどうかは、見積りを見てから決めればいいんだから。

 

 

14社の特徴

比較表の内容を、会社ごとに短くまとめました。どれも各社の公式サイトに書かれていることだけをもとにしています。

けんせつくん

建設業界専門のファクタリングサービスです。
請求書だけでなく、受注時の注文書でも使えると書いています。個人事業主も利用できます。
手数料は2%〜、入金は審査開始から最短2時間としています。
サイトの会社情報のリンク先は、株式会社ウィットのサイトです。そのサイトには、2社間契約に加えて3社間取引にも対応できると書かれています。

建設サイト早払い(エムシーディースリー株式会社)

建設業向けのサービスで、ほかの会社とは仕組みが大きく違います。
公式サイトでは自社のサービスを「3社間ファクタリング」としており、利用規約では、発注元会社も利用者として登録し、売掛金の譲渡を承諾していることが条件です。そのため、元請けに知られずに使うサービスではありません。償還請求権なし型としています。
対象は発注元の検収が終わって金額が確定した代金だけで、注文書の段階では使えません。利用できるのは「建設サイト・シリーズ」を契約している法人で、個人事業主は対象外です。
請求額は30万円(税込)以上、支払期日は申込みの日から11日以上180日以内という条件もあります。
手数料は入金までの期間で決まり、30日以内なら1〜3%、31〜60日なら1.5〜4.5%、61〜90日なら2.5〜6%、91日以上は個別に決めるとしています。
申込みフォームでも、「グリーンサイト」に登録した社名や住所を書くよう求めています。

建設Pay(株式会社DMC)

建設業専門のファクタリングサービスです。
工事の着手前に発行される注文書だけでも契約できると書いています。
手数料は1%〜、買取は最大1億円までです。
送金の早さは、同じページの中で「お申し込みから最短1時間以内」と「ご契約から最短1時間以内の送金を目指しています」の2通りの書き方があります。
個人事業主については「建設業者様であればご相談に応じます」としています。
公式サイトは1ページだけで、条件はそのページの本文とよくある質問で確認しました。

JBL(建設業向けファクタリング、株式会社JBL)

JBLの建設業者専用のファクタリングです。
手数料は2%〜14.9%で、即日対応の買取上限は5,000万円としています。
建設業向けのページには、設立1年未満の法人と、個人事業主・フリーランスの利用は受け付けていないと書かれています。
注文書の段階で使えるかは、確認したページに書かれていませんでした。

土建くん(株式会社ワイズコーポレーション)

建設業に特化した請求書買取サービスです。
注文書や請書の段階でも使えると書いています。一人親方の利用にも対応しています。
料金のページでは、手数料を1.8%〜としています。
運営会社が同じサイトが2つあり、入金の早さは一方が「最短即日60分」、もう一方が「入金最短即日」と書いています。

QuQuMo(株式会社アクティブサポート)

オンラインで完結する請求書の買取サービスです。
2社間の契約で、取引先への通知や債権譲渡登記の設定は不要としています。
手数料は1%〜、金額の上限はなく、最短2時間で資金化できるとしています(必要書類がそろっている前提)。
対象の請求書は、請求金額と入金日が確定しているものに限られます。

GMO BtoB早払い(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)

東証プライム上場企業が提供するサービスです。
請求書の発行前、受注した時点の注文書でも買い取ります。注文書の場合は受注金額の最大50%までです。
手数料は注文書の買取が2〜12%、請求書の買取が1〜10%です。
入金は、審査が終わっている場合で最短2営業日後です。
対象は法人だけで、個人事業主は利用できません。
また案内ページには、譲渡禁止の特約が付いた債権も買取の対象にしていると書かれています。

トップ・マネジメント(株式会社トップ・マネジメント)

2社間(手数料3.5%〜)と3社間(手数料0.5%〜)に対応しています。
見積書・受注書・発注書の段階で買い取るサービスもありますが、設立から半年以上、月商500万円以上の法人が対象で、個人事業主やフリーランスは利用できません。
買取額は30万円〜3億円(売掛先1社あたりの上限は1億円)です。
建設業向けのページでは、法人だけでなく個人事業主も利用できると書いています。

No.1(株式会社No.1)

法人向けの即日ファクタリングとして案内しています。
手数料は0.5%〜、買取は50万円〜3億円(それ以上は相談)、振込は最短30分(オンライン契約の場合)としています。
サービスページには「法人様専用」と書かれています。ただし申込みフォームには「個人事業主」の選択肢もあるため、個人事業主の方は申し込む前に確認してください。
注文書の段階で使えるかは、サービスページに書かれていませんでした。

日本中小企業金融サポート機構(一般社団法人)

一般社団法人が運営するファクタリングです。
手数料は1.5%〜、審査は最短30分、入金は最短3時間としています。
買取金額に下限・上限は設けていません。
個人事業主は、売掛先が法人であれば利用できるとしています。
よくある質問では、買取の対象を「すでに仕事が完了している売掛金」としています。

ビートレーディング(株式会社ビートレーディング)

注文書の段階の買取に対応しています。注文書の段階では、2者間で契約するとしています。
手数料は、下限ではなく平均値を公表しています。2024年度の実績で、2者間は平均10.3%、3者間は平均6.8%です。審査結果によっては平均より高くなることもあると書いています。
入金は、相談してから使う場合や300万円以上の場合で最短2時間、300万円未満でオンラインの審査から申し込む場合は最短50分です(トップページでは「最短1時間以内」と書いています)。
売掛先が個人事業主の売掛金は買い取っていません。

PMG(ピーエムジー株式会社)

よくある質問では、最短30分で入金できるとしつつ、平均は3日ほどと書いています。
手数料は個別に査定するとしています。手数料のページでは買取率98%(売買手数料2%)を掲げる一方、よくある質問では掛け目を「通常は97~92%」とし、2社間では低めに設定する場合があると書いています。
個人事業主も利用できます。
債権譲渡登記は原則として必要としていますが、お客様の今後の資金繰りや業務に支障が出るおそれがある場合は、登記を留保して契約できるとしています。

ベストファクター(株式会社アレシア)

注文書・受注書の買取にも対応しています。
手数料は2%〜で、買取金額ごとの目安を公表しています。たとえば100万円未満は2社間で5〜20%、3社間で2〜15%、1,000万円以上は2社間で2〜12%、3社間で2〜8%です。審査結果によっては、この範囲外になる場合があるとしています。
入金は、2社間なら最短6時間、3社間は数日〜1週間程度が目安としています。
法人・個人事業主を問わず利用でき、個人事業主は30万円〜の債権から相談できるとしています。

建設業でファクタリング会社を選ぶ5つの基準

建設業で会社を選ぶときは、「注文書か請求書か」「2社間か3社間か」「手数料の幅」「支払期日までの長さ」「法人か個人事業主か」の5つを確かめます。最低手数料の数字だけで選ぶと、実際の見積りと大きく違うことがあります。

基準確かめること
① 注文書か請求書か工事前に資金が必要なら、注文書の段階で使えるか。使える場合も、法人限定や受注金額の何割までかを確認
② 2社間か3社間か元請けに知られたくないなら2社間。3社間は元請けの承諾が必要だが、2社間より手数料を低く出している会社が多い
③ 手数料の幅「〜%」の下限だけでなく、上限や平均値を出しているか。ビートレーディングのように平均値を公表している会社もある
④ 支払期日までの長さ支払期日が先の請求書は、手数料が上がることがある。建設サイト早払いのように、支払期日までの期間で手数料を決めている会社もある
⑤ 法人か個人事業主か法人だけを対象にしている会社がある。一人親方は「個人事業主」の欄を必ず確認

手数料の下限として書かれる「1%〜」や「2%〜」は、条件がとても良い場合の数字です。
ベストファクターの目安でも、100万円未満の2社間は5〜20%と幅があります。
見積りは2〜3社でとり、手数料を引いた後に手元にいくら残るかで比べると、判断を誤りにくくなります。

手数料の決まり方や計算方法は、ファクタリングの手数料の相場で詳しく説明しています。

使う前に確認したい、建設業の契約のこと

建設業でファクタリングを使う前に、請負契約書に「権利を譲渡してはならない」という条項がないかを確かめてください。公共工事の契約のひな形には、発注者の承諾なしに請負代金を譲渡できないという条項があります。

ほかの業種の比較記事ではあまり触れられませんが、建設業の請負契約にはファクタリングに関係する決まりがあります。

請負契約に「権利を譲渡してはならない」と書かれていないか

国の中央建設業審議会が決めた「公共工事標準請負契約約款」の第5条には、次の内容があります。

  • 受注者は、この契約で生じる権利や義務を第三者に譲渡してはならない。ただし、あらかじめ発注者の承諾を得た場合は、この限りでない
  • 受注者が、前払金や部分払などを使ってもなお工事に必要な資金が足りないことを示したときは、発注者は、特段の理由がある場合を除き、請負代金債権の譲渡を承諾しなければならない
  • この承諾を受けて譲渡した場合、得た資金はその工事の施工以外に使ってはならず、使い道を示す書類を発注者に出さなければならない

2つ目と3つ目の条項は、使うかどうかを発注者が選べる条項で、契約によっては入っていません。

ファクタリングは、工事代金を受け取る権利(請負代金債権)をファクタリング会社に売ることです。
そのため、この条項が入った契約では、発注者の承諾が問題になります。

民法では、譲渡を禁止する特約があっても、債権の譲渡そのものは有効とされています(民法第466条第2項)。
ただし、譲り受けた側がその特約を知っていたか、大きな不注意で知らなかった場合、発注者は支払いを拒むことができます(同条第3項)。

また、譲渡が有効かどうかとは別に、契約違反の問題は残ります。
公共工事標準請負契約約款では、受注者が第5条第1項に違反して請負代金債権を譲渡したときは、発注者が直ちに契約を解除できると定めています(第48条第1号)。
承諾が必要な契約では、承諾を得ずにファクタリングを使わないでください。

ファクタリング会社によって、この特約への対応は違います。
GMO BtoB早払いは「譲渡禁止債権も買取対象」と書いています。一方、建設サイト早払いの利用規約では「譲渡制限特約が存在しないこと」を条件にしています。
ただし、買い取ってもらえることと、発注者との契約に違反しないことは別の問題です。
公共工事に限らず、民間工事の契約書にも同じような条項がないかを確かめ、申し込むときにファクタリング会社へ契約書を見せて相談してください。

元請けの支払期限は、建設業法で決まっている

元請けから下請けへの支払いの期限は、建設業法で決められています。

  • 元請けは、発注者から出来形部分や工事完成後の支払いを受けたら、その支払いに応じた下請代金を、その日から1か月以内で、できる限り短い期間内に払わなければならない(建設業法第24条の3)。1次下請と2次下請の間など、下請契約の注文者にも当てはまる
  • 特定建設業者が注文者の下請契約では、下請けが工事の引渡しを申し出た日から50日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めなければならない(建設業法第24条の6第1項)。この規定には、下請けが特定建設業者の場合などの例外がある
  • 特定建設業者は、支払期日までに金融機関で割り引いてもらうのが難しい手形を、下請代金の支払いに使ってはならない(同条第3項)

製造業などの下請取引を守る法律は、2026年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(以前の下請法)になっています。
ただしこの法律は、建設業を営む者が請け負った建設工事をほかの建設業を営む者に請け負わせることを、「役務提供委託」から外しています(同法第2条第4項)。建設工事の下請代金は、建設業法で守られています。

支払いが決まりより遅れているときは、ファクタリングを使う前に、まず元請けに支払いを求めることも考えてください。
下請けとして支払いが遅れたときの対応は、請求書の遅れを理由に支払い拒否はできない|下請けが取るべき対応で説明しています。

注文書ファクタリングと請求書ファクタリングの違い

注文書ファクタリングは、工事が終わる前の「これから受け取る予定の代金」を買い取ります。請求書ファクタリングは、工事が終わって金額が決まった代金を買い取ります。注文書のほうが早く使えますが、条件は厳しくなりやすいです。

ビートレーディングは、注文書ファクタリングを「請求書より手前の注文書(将来債権)を買い取る」もの、通常のファクタリングを「仕事完了後の請求書(確定債権)を買い取る」ものと説明しています。

注文書ファクタリング請求書ファクタリング
使える時期受注した時点(工事の前)工事が終わり、請求書を出した後
買い取る代金これから受け取る予定の代金(将来債権)金額が決まった代金(確定債権)
対応している会社限られる(この記事の14社中7つ)多い
条件の例GMO BtoB早払いは受注金額の最大50%まで。トップ・マネジメントは設立半年以上・月商500万円以上の法人のみ建設サイト早払いは、発注元の検収が終わった代金のみ
手数料の例GMO BtoB早払い:2〜12%GMO BtoB早払い:1〜10%

注文書の段階では、工事が予定どおり終わるか、金額が変わらないかがまだ分かりません。
そのため、請求書の段階より条件が厳しくなるのは自然なことです。
工事が終わって請求書を出せるまで待てるなら、請求書ファクタリングのほうが、選べる会社も多くなります。

建設業がファクタリングを使うメリットと注意点

ファクタリングは借入ではなく、工事代金を受け取る権利の売買です。入金を早められる一方で、手数料がかかり、売った後の工事代金はファクタリング会社に渡ることになります。

金融庁は、ファクタリングを「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明しています。
同時に、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者がいることや、経済的に貸付けと同じ働きをするものは貸金業に当たるおそれがあることも注意しています。

メリット注意点
工事代金の入金日を待たずに、材料費や外注費、給与の支払いに回せる手数料がかかる。下限の「〜%」で計算せず、見積りで手元に残る金額を確かめる
借入ではないため、返済の予定を組む必要がない償還請求権がある契約だと、元請けが払えなくなったときに自分が払う場合がある。契約書で「償還請求権なし(ノンリコース)」かを確かめる。金融庁は、契約書の書き方だけでなく実態で判断されるとしているため、実際には売主が払う仕組みになっていないかも確かめる
2社間なら元請けへの通知なしで使える会社が多い同じ売掛金を2つの会社に売る「二重譲渡」は絶対にしない
3社間の手数料を2社間より低く出している会社が多い(トップ・マネジメント、ビートレーディング、ベストファクターなど)3社間は元請けの承諾が必要。元請けとの関係を考えて選ぶ

ファクタリングを装った業者の見分け方は、ファクタリングはやばい?詐欺・悪徳業者の見分け方にまとめています。

申込みから入金までの流れと必要書類

流れはどの会社もおおむね「相談・申込み → 書類の提出と審査 → 契約 → 入金」です。建設業では、工事の契約書や注文書(発注書)、検収書など、工事代金があることを示す書類を求められることがあります。

  1. 相談・申込み:電話、フォーム、LINEなどで申し込む
  2. 書類の提出と審査:請求書や通帳のほか、工事の契約書や注文書を出す
  3. 見積りと契約:手数料と、手元に残る金額を確認してから契約する
  4. 入金:契約後、買取代金が振り込まれる
  5. 元請けからの入金後:2社間なら、元請けから受け取った代金をファクタリング会社に払う

求められる書類は会社によって違います。公式サイトに書かれている例は次のとおりです。

  • ビートレーディング(注文書の段階):注文書(発注書)、口座の入出金明細(直近3か月)
  • GMO BtoB早払い:最初の利用審査で決算書2期分・試算表・取引基本契約書など、買取ごとの審査で見積書・発注書・請求書・納品確認書(検収書)など
  • QuQuMo:代表者の本人確認書類、請求書、すべての銀行口座の入出金明細(直近3か月分)。個人事業主は、開業届か確定申告書一式と、健康保険証も必要

えんナビでは、建設業でも必要書類はほかの業種と同じです。
書類ごとに何を見られるかは、ファクタリングに必要な書類で、審査の見られ方はファクタリングの審査基準で説明しています。

建設業の工事代金を帳簿でどう扱うか(完成工事未収入金)は、完成工事未収入金とは?をご覧ください。

建設業のファクタリングでよくある質問

建設業におけるファクタリングとは何ですか?

工事代金を受け取る権利(売掛金)を、支払期日より前にファクタリング会社へ売って、手数料を引いた代金を受け取る方法です。
請求書を出した後の工事代金を売るのが一般的ですが、注文書の段階で買い取る会社もあります。

ファクタリングはどの業に当たりますか?

金融庁は、ファクタリングを法的には「債権の売買(債権譲渡)契約」と説明しています。
ただし、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同じ働きをするものは貸金業に当たるおそれがある、とも注意しています。

ファクタリングがダメと言われる理由は何ですか?

主な理由は、手数料がかかることと、ファクタリングを装った違法な業者がいることです。
手数料がかかるため、毎月のように使い続けると、その分だけ利益が減ります。使うのは、入金を待っていると支払いに間に合わないときに絞るのが基本です。

一人親方でも使えますか?

使える会社はあります。比較表では、けんせつくん、土建くん、ビートレーディング、ベストファクター、QuQuMo、PMG、トップ・マネジメント(請求書の買取)が、個人事業主も利用できると書いています。えんナビも個人事業主のお申込みを受け付けています。
一方で、建設サイト早払い、JBLの建設業向けファクタリング、GMO BtoB早払いは個人事業主を対象外にしています。

工事の途中でも使えますか?

会社によります。
注文書の段階で買い取る会社なら、工事が終わる前でも使えることがあります。
建設サイト早払いのように、発注元の検収が終わって金額が確定した代金だけを対象にしている会社もあります。えんナビも、請求書を出した後の工事代金が対象です。

元請けに知られずに使えますか?

2社間ファクタリングなら、元請けへの通知や承諾なしで使える会社が多いです。
ただし、債権譲渡登記をするかどうかは会社によって違います。申し込む前に確認してください。

まとめ|建設業は「注文書か請求書か」から選ぶ

建設業のファクタリング会社は、注文書の段階で使いたいか、元請けに知られずに使いたいか、法人か個人事業主かの3つで絞り込めます。そのうえで、手数料の下限ではなく、見積りで手元に残る金額を比べてください。

  • 工事前に資金が必要:注文書の段階で使える会社から選ぶ。法人限定や受注金額の上限に注意
  • 工事が終わり請求書がある:選べる会社が多い。2〜3社で見積りをとる
  • 使う前に:請負契約に譲渡を禁止する条項がないかを確かめる

えんナビは、工事が終わって請求書を出した後の工事代金を、50万円〜5,000万円の範囲で買い取っています。法人も個人事業主も、2社間・3社間のどちらでもお申込みいただけます。
手元の請求書でいくら資金化できるかを知りたい場合は、お気軽にご相談ください。

参照 優良ファクタリング会社おすすめ15社を比較|安全な業者の見分け方

 

出典・参照(2026年11月3日確認)

法令・国の資料

各社の公式サイト

PR
即日資金調達 えんナビ
ABOUT US
えんナビ┃株式会社インターテック
株式会社インターテック
株式会社インターテックは、2017年創業のファクタリング会社です。 事業者向けファクタリングサービス「えんナビ」を運営し資金調達相談に対応してきました。 本サイトでは、資金調達に悩む中小企業・個人事業主の方に向けて、ファクタリングを含む各種資金調達方法のしくみや注意点をわかりやすく解説し、その中の選択肢のひとつとして「えんナビ」の活用もご紹介しています。
運営会社:株式会社インターテック(会社概要)
創業:2017年
サービス:えんナビ
取扱件数4,000件以上、満足度93%以上(自社調べ・2023年時点)