ファクタリングを利用したことが取引先に知られるかどうかは、2社間と3社間のどちらで契約したかによって大きく異なります。
2社間ファクタリングでは、売掛先を契約に加えないため取引先に知られにくいです。
3社間ファクタリングでは、売掛先も手続きに加わるため取引先に知られます。
次に銀行関連ですが、ファクタリングの利用が自動で通知されることはありません。
最後に他のファクタリング会社へですが、利用履歴が自動で伝わるわけではありません。ただし同じ売掛債権を譲渡したりすると、知られることがありますし、そもそも契約上・法律上の問題につながります。
- 2社間ファクタリングは取引先に知られにくい
- 3社間ファクタリングは取引先に知られる
- 債権譲渡登記をしても売掛先へ自動通知されるわけではない
- 入金後の送金遅れがあると売掛先へ連絡されることがある
- 銀行には融資を申し込んだ際に利用を把握される場合がある
- 他のファクタリング会社には同じ売掛債権を使わない
ここではファクタリングを利用したことが誰に知られるのか、どのような場合に知られるのかを説明します。
取引先に知られない資金調達方法を広く比較したい場合は、以下の記事を参照してください。


ファクタリングを利用したことが取引先に知られると何が問題になるのか
ファクタリングを利用したことが取引先に知られることを避けたがる利用者は多いです。
それは、ファクタリングを利用したことが取引先に知られた場合、資金繰りへの不安を持たれたり、今後の取引条件を見直されたりする可能性があるためです。
3社間ファクタリングでは取引先側にも支払先変更などの手続きが発生するため、担当者への説明や社内承認が必要になる場合もあります。これによりファクタリングを利用したことが知られ、そこから今後の取引に影響が出てしまう可能性があります。
一方2社間ファクタリングでは、基本的には取引先に知られることはありません。
ファクタリング自体が悪いわけではない
ファクタリング自体が悪いわけではありません。有効な資金調達方法の1つです。
ただし問題となるのは、取引先に資金繰りへの不安を持たれたり、これまで必要のなかった事務手続きを依頼したりする点です。
取引先との関係によっては、今後の発注量や支払条件に影響が出ることも考えられます。
ではファクタリングを利用しただけで取引停止になるのか?というと、それはわかりません。取引先の考え方次第でしょう。
取引先がファクタリングをどのように受け止めるかは、それまでの取引関係や資金調達の理由によって変わります。
- 資金繰りが悪化していると思われることがある
- 今後も継続して取引できるのか不安を持たれることがある
- 3社間では支払先変更などの手続きを依頼することになる
- 取引先の経理担当者や上司への説明が必要になる場合がある
取引先との関係を変えたくない場合は、取引先を契約に加えない2社間ファクタリングから検討することになります。
2社間ファクタリングは取引先に知られにくい
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社で契約します。売掛先は契約に加わらず、請求書の支払先も通常は変わりません。
そのため契約どおりに手続きを進めていれば、売掛先がファクタリングの利用を知る機会は多くありません。ただし債権譲渡登記や入金後の送金遅れによって知られる場合はあります。
売掛先が契約に加わらないため知られにくい
2社間ファクタリングでは、利用者がファクタリング会社へ売掛債権を譲渡します。売掛先はこれまでどおり利用者の銀行口座へ代金を支払います。
その後、利用者が受け取った代金をファクタリング会社へ送金します。
- 利用者がファクタリング会社へ申し込む
- ファクタリング会社が売掛債権を買い取る
- 売掛先は通常どおり利用者の口座へ支払う
- 利用者がファクタリング会社へ代金を送金する
売掛先から見ると、請求書の内容や振込先に変化はありません。
ファクタリング会社との契約も、通常は利用者とファクタリング会社の間で進みます。
この仕組みにより、2社間ファクタリングは取引先に知られにくくなっています。
2社間ファクタリングの契約や支払いの流れは、以下の記事で詳しく説明しています。
債権譲渡登記から知られる可能性はゼロではない
2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社から債権譲渡登記を求められることがあります。
債権譲渡登記とは、法人が売掛債権を譲渡したことを登記する制度です。
債権譲渡登記をしただけで、売掛先へ自動的に通知されるわけではありません。
法務省も、登記だけでは売掛先に債権譲渡の事実を主張できず、登記事項証明書を添えた通知が別に必要だと説明しています。
一方で債権譲渡登記の概要は、登記情報提供サービスなどを使って調べることができます。
取引先が登記情報を調べれば、債権譲渡登記があることを知られる可能性はあります。
そのため「登記をしても絶対に知られない」とは言い切れません。
- 債権譲渡登記を行う契約か
- 登記なしで契約できるか
- どの売掛債権が登記の対象になるか
- 登記費用と抹消費用は誰が負担するか
- どのような場合に売掛先へ通知するのか
なお債権譲渡登記を利用できるのは法人です。
個人事業主の売掛債権は、債権譲渡登記の対象になりません。
入金後の送金が遅れると売掛先へ連絡されることがある
2社間ファクタリングで取引先に知られる原因として注意したいのが、売掛先から入金された後の送金遅れです。
売掛先から利用者の口座へ入った代金は、契約に従ってファクタリング会社へ送金します。
別の支払いに使い、送金期限を過ぎると契約違反となる場合があります。
ファクタリング会社からの連絡にも応じなければ、売掛先へ入金状況を確認されることがあります。
その連絡によって、取引先にファクタリングの利用を知られることになります。
- 売掛先から入金された後、何日以内に送金するのか
- 入金日が土日祝の場合はいつまでに送金するのか
- 入金額が請求額より少なかった場合はどうするのか
- 送金が遅れた場合、どの時点で売掛先へ連絡されるのか
売掛先から入った代金を別の支払いに回さず、送金期限を守ることが取引先に知られるリスクを下げます。

3社間ファクタリングは取引先に知られる
3社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社に加えて売掛先も手続きに加わります。売掛先に債権譲渡を伝え、売掛先からファクタリング会社へ直接支払ってもらうため、利用を隠したまま契約することはできません。取引先に知られたくない事業者には向きませんが、取引先へ説明できる場合は選択肢になります。
売掛先が手続きに加わるため利用を知られる
3社間ファクタリングでは、売掛先に売掛債権を譲渡したことを伝えます。
売掛先は、利用者ではなくファクタリング会社へ代金を支払います。
つまり売掛先がファクタリングの手続きに加わるため、取引先に知られずに利用することはできません。
- 利用者がファクタリング会社へ申し込む
- 売掛先へ債権譲渡を伝える
- 売掛先が支払先の変更を把握する
- 売掛先がファクタリング会社へ直接支払う
3社間ファクタリングでは、利用者が売掛先から代金を受け取り、ファクタリング会社へ送金する手続きは通常ありません。
売掛先がファクタリング会社へ直接支払うためです。
3社間ファクタリングの詳しい流れは、以下の記事で説明しています。
取引先へ説明できる場合は3社間も選択肢になる
取引先に知られたくない場合、3社間ファクタリングは向きません。
一方で売掛先へ事情を説明でき、支払先の変更にも対応してもらえる場合は、3社間も選択肢になります。
3社間は売掛先が支払いに加わるため、ファクタリング会社から見ると代金を回収しやすくなります。
その結果、2社間より手数料が低く設定される場合があります。
- 取引先へ資金調達の理由を説明できる
- 支払先変更の手続きに応じてもらえる
- 取引先との関係が安定している
- 取引先に知られることより費用を抑えることを優先したい
取引先に知られないことを最優先するなら2社間、取引先への説明が可能で費用を抑えたいなら3社間という選び方になります。
銀行にファクタリング利用を知られることはあるのか
ファクタリングを利用しただけで、銀行へ自動的に通知されることはありません。銀行口座へファクタリング会社から入金があっても、銀行がすぐに利用目的まで把握するとは限りません。ただし銀行融資を申し込む際に通帳、決算書、試算表などを提出すれば、ファクタリングによる入金や売掛金の減少について説明を求められる場合があります。
ファクタリングを利用しても銀行へ自動通知されない
2社間ファクタリングでも3社間ファクタリングでも、契約したことが銀行へ自動通知される仕組みではありません。
ファクタリング会社から自社の銀行口座へ振り込みがあっても、入金名義だけで取引内容をすべて把握されるわけではありません。
債権譲渡登記を行った場合も、銀行へ自動で連絡が入るものではありません。
そのため銀行融資を利用していない時期であれば、銀行にファクタリングの利用を説明する場面は多くないと考えられます。
融資を申し込むときに説明を求められる場合がある
銀行融資を申し込むと、通帳、決算書、試算表、資金繰り表などの提出を求められることがあります。
提出した資料にファクタリング会社からの入金や売掛金の減少が出ていれば、資金の流れについて質問される場合があります。
このときは、次の内容を説明できるようにします。
- どの売掛金をファクタリングしたのか
- ファクタリング会社からいくら入金されたのか
- 手数料はいくらだったのか
- 調達した資金を何に使ったのか
- 今後の入金と支払いに無理がないか
ファクタリングを利用したこと自体が、銀行融資で直ちに不利になるとは限りません。
問題となりやすいのは、通帳、決算書、試算表の数字と説明が合わない場合です。
ファクタリングと銀行融資の違いは、以下の記事で説明しています。
他のファクタリング会社に利用を知られることはあるのか
他のファクタリング会社に相談しただけで、現在利用している会社へ自動的に連絡されるわけではありません。また契約前に複数社から見積もりを取ることと、同じ売掛債権を複数社へ譲渡することは別の行為です。他の会社を利用する場合は、どの売掛債権をどの会社へ譲渡したのかを明確に管理する必要があります。
複数社への相談と二重譲渡は別の話
契約前に複数のファクタリング会社へ相談し、手数料や契約条件を比べることは、同じ売掛債権を複数社へ譲渡することとは異なります。
また別々の売掛債権を、それぞれ別のファクタリング会社へ譲渡できる場合もあります。
ただし他社利用を禁止する条項が契約書に書かれていることもあります。
別の会社を利用する前に、現在の契約書に他社利用の制限がないかを読む必要があります。
| 行為 | 扱い |
|---|---|
| 契約前に複数社へ見積もりを依頼する | 条件を比較するための相談 |
| 別々の売掛債権を別の会社へ譲渡する | 契約条件によっては利用できる |
| 同じ売掛債権を複数社へ譲渡する | 二重譲渡となるため避ける |
「他のファクタリング会社を利用していることがバレるか」だけでなく、現在の契約で他社利用が認められているかも確認する必要があります。
同じ売掛債権を複数社へ譲渡してはいけない
すでにA社へ譲渡した売掛債権を、B社にも譲渡してはいけません。
同じ売掛債権を複数社へ譲渡する行為は二重譲渡と呼ばれ、契約違反や損害賠償などの問題につながるおそれがあります。
A社が債権譲渡登記をしている場合、B社が登記情報を調べることで、先に譲渡されていることを把握する場合もあります。
次のような行為は避けるべきです。
- 同じ請求書を複数社へ提出する
- 譲渡済みの売掛債権を別会社へ持ち込む
- 入金済みの請求書を未入金として提出する
- 他社利用について事実と異なる説明をする
複数社へ相談する場合は、契約を結ぶ前に利用する会社を1社に決めます。
書類偽造、架空債権、二重譲渡の問題は、以下の記事で詳しく説明しています。
取引先に知られたくない場合に契約前に確認すること
取引先に知られないファクタリングを探す場合は、「2社間」「秘密厳守」という広告だけで決めない方がよいです。同じ2社間でも、債権譲渡登記の有無や売掛先へ連絡する条件は契約によって違います。口頭で受けた説明と契約書の内容を照らし合わせ、入金後の送金期限や契約違反時の対応まで把握してから契約します。
契約前に確認する項目は、次の6つです。
- 契約方法:2社間か3社間か
- 売掛先への連絡:どのような場合に連絡されるのか
- 債権譲渡登記:登記を行うのか、登記なしで契約できるのか
- 送金期限:売掛先から入金された後、何日以内に送金するのか
- 送金が遅れた場合:いつ、誰へ連絡されるのか
- 契約書:口頭説明と同じ内容が書かれているか
「原則として売掛先へ連絡しません」という説明だけでは不十分です。
原則の例外となる条件を契約書で読みます。
支払い遅れ、連絡不能、契約違反があった場合に売掛先へ連絡するのかがわからない場合は、契約前に書面で回答を求めます。
また請求書、通帳、契約書の内容に違いがあると、追加資料を求められることがあります。
請求書の売掛先名、請求金額、支払期日が、通帳の入金履歴や契約書の内容と合っている状態にしてから申し込むと、余計な確認を減らせます。
ファクタリングに必要な書類は、以下の記事で説明しています。

売掛金の入金前に支払いが迫っているものの、取引先には知られたくない場合は、現在の状況を確認したうえで利用できる方法を案内します。
よくある質問
ファクタリングが取引先、銀行、他のファクタリング会社に知られるかどうかは、契約方法と利用後の対応によって変わります。
2社間は取引先に知られにくい方法ですが、登記や送金遅れによって知られる場合があります。3社間は売掛先が手続きに加わるため、取引先に知られることを前提に利用します。
ファクタリングは取引先に必ず知られますか?
必ず知られるわけではありません。
2社間ファクタリングは、売掛先を契約に加えないため、取引先に知られにくい方法です。
一方で3社間ファクタリングは売掛先が手続きに加わるため、取引先に知られます。
2社間ファクタリングでも取引先に連絡されますか?
通常は売掛先へ連絡せずに契約します。
ただし入金後の送金遅れ、連絡不能、契約違反などがあると、ファクタリング会社から売掛先へ確認される場合があります。
契約書で売掛先へ連絡する条件を確認しておく必要があります。
債権譲渡登記をすると取引先へ通知されますか?
債権譲渡登記をしただけで、取引先へ自動通知されるわけではありません。
法務省は、登記だけでは売掛先に債権譲渡を主張できず、登記事項証明書を添えた通知が別に必要だと説明しています。
ただし取引先が登記情報を調べれば、登記があることを知られる可能性はあります。
3社間ファクタリングは取引先に知られますか?
知られます。
3社間ファクタリングでは、売掛先に債権譲渡を伝え売掛先からファクタリング会社へ直接支払ってもらうためです。
取引先に知られずに利用したい場合は、3社間ではなく2社間を検討したほうがよいでしょう。
銀行へファクタリング利用が自動通知されますか?
自動通知されることはありません。
ただし銀行融資を申し込む際に通帳、決算書、試算表などを提出すると、ファクタリング会社からの入金や売掛金の減少について説明を求められる場合があります。
他のファクタリング会社を利用していることは知られますか?
他社利用の履歴が自動的に共有されるわけではありません。
ただし申込時に他社利用を尋ねられる場合や、譲渡済みの売掛債権に登記がある場合は、利用を把握されることがあります。
同じ売掛債権を複数社へ譲渡してはいけません。
参考・出典
債権譲渡の通知・承諾と債権譲渡登記については、以下の公式情報を確認しています。





























