インターネット通販業にファクタリングでの資金調達が有効とされる理由

実店舗を持たないインターネット通販業は、ここ数年で一気に知名度を上げた業種でもあります。これまでテレフォンショッピングやテレビショッピングを利用していた層が、インターネットでいつでもどこでも買い物ができるというメリットが受けて急成長してきたビジネスモデルです。

しかし、インターネット通販業を営んでいく上で避けて通れないのが、「資金繰り」です。入金と仕入れのタイミング次第では、売上があるのに資金ショートで黒字倒産するというケースも後を絶ちません。そんなインターネット通販業の資金繰りに有効なのが、ファクタリングです。

今回は、インターネット通販業にファクタリングによる資金調達がいかに有効かということについて解説していきます。

ファクタリングでインターネット通販業の資金繰りを改善する

ファクタリングでインターネット通販業の資金繰りを改善する

ファクタリングでインターネット通販業の資金繰りを改善するには、ファクタリングの仕組みを知る必要があります。ここではファクタリングのメリットとデメリットについて解説していきます。

ファクタリングのメリットは、「売掛債権を入金期日前に資金化できる」という点です。インターネット通信業は、その入金サイクルが不安定になりがちな業種です。入金サイクルが不安定だと、商品の仕入れや、従業員の給料といった必要経費の支払いに追われてしまいます。それら経費の支払いには、流動資産、つまり会社預金が当てられます。しかし、その会社預金の口座も無限に湧いてくるものではありません。

入金サイクルが不安定な業界程、流動資産の残高が常に一定の水準とは言えないのが現状です。売掛債権として売上を上げても、肝心の資金が捻出できないことには、大きな負債を抱えたまま営業しているのと同じことになります。そのため、ファクタリングのような売掛債権を資金化する方法はインターネット通販業には必要な金策と言えます。

ファクタリングには、2社間ファクタリングと、3社間ファクタリングの2種類の手法があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、その内容を理解しておかなければ、ファクタリングも正しい金策にならない場合もあります。まずは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのメリットとデメリットについて解説していきます。

2社間ファクタリングのメリットとデメリット

2社間ファクタリングとは、売掛元と、売掛債権を資金化してくれるファクタリング業者の2社で行なわれるファクタリング取引です。売掛債権を「モノ」として取り扱い、売掛債権額から手数料を差し引いた分の金額を資金化する方法です。

メリット

1…資金化までのスピードが速い…銀行融資などでは審査期間や、書類手続きなどを含めると、資金化までの時間が長くなってしまいがちです。ファクタリングでは業者にもよりますが、即日資金化、3営業日以内に資金化など、売掛債権が資金化されるまでのスピードが速いため、資金難に陥っても迅速に対応することが出来ます。

2…審査は売掛元ではなく売掛先…ファクタリング申し込み企業(売掛元)の経営状況が火の車であっても、売掛先の企業の与信力が高ければ、資金化が可能です。特に、上場企業などは貸し倒れの可能性が低くなるため、手数料も安くなる場合があります。

3…売掛先に知られずに資金化できる…2社間ファクタリングは、売掛元とファクタリング業者の2社間で契約される取引です。ただし、資金化の源となる「売掛債権」は売掛先と売掛元の2社内での取引です。債権譲渡を行なう際には、契約書上で債権譲渡の禁止特約などを締結する場合がありますが、金額などによっては、債権譲渡禁止特約などが無い場合もあります。

債権譲渡禁止特約が無い売掛債権のファクタリングは、売掛先へ、債権を譲渡したという通知をする必要がありません。そのため、資金繰りに困っているというネガティブな情報を売掛先に知られることなく、資金を調達することが可能です。資金繰りにあえいでいるということを知られると何かと都合が悪いという場合には2社間ファクタリングが有効です。

デメリット

1…手数料が高い…2社間ファクタリングと3社間ファクタリングを比べると、圧倒的に2社間ファクタリングの方の手数料が高いです。これにはファクタリング業者側の理由があります。それは貸し倒れリスクを最小限にするためです。業者によっても異なりますが、3社間ファクタリングの場合で5%~10%なのに対し、2社間ファクタリングでは10%~30%と負担が大きくなります。

2…個人事業主は利用できない…ファクタリングには「売掛債権の譲渡登記」が必須です。この売掛債権の譲渡登記は、現行の法律では、法人企業しか利用できない制度です。そのため、いくら売掛債権譲渡禁止特約がない売掛債権だとしても、法人ではない個人事業主は2社間ファクタリングを利用できません。

3社間ファクタリングのメリットとデメリット

2社間ファクタリングのメリットとデメリットについて解説してきましたが、3社間ファクタリングのメリットとデメリットはどんなものがあるのでしょうか?

メリット

1…手数料が安い…先ほども触れましたが、2社間ファクタリングの手数料相場に比べ、3社間ファクタリングの手数料相場は圧倒的に3社間ファクタリングの方が安く済みます。

2…個人事業主でも利用できる…債権譲渡を売掛先の合意を得て行なうため、個人事業主でも利用できます。

デメリット

1…2社間ファクタリングに比べて資金化までのスピードが遅い…3社間ファクタリングは、売掛元、ファクタリング業者に加えて、売掛先も取引の対象になります。そのため、資金を得たい売掛元と、売掛先の打ち合わせのタイミング次第では、2社間ファクタリングよりも時間がかかってしまう場合があります。

2…売掛先との交渉次第では今後の取引に影響が出る場合も…債権譲渡通知が行なわれるため、ファクタリングを行なうことで両社(売掛先と売掛元)の関係がぎくしゃくする可能性もあります。資金繰りに困っているという事実によって、契約内容の見直しがされてしまう場合もあります。

インターネット通販業の苦しい台所事情

インターネット通販業の苦しい台所事情

インターネット通販業はどうしてそこまで資金繰りにあえぐのでしょうか?それには、インターネット通販業のビジネス手法が売掛債権を生み出す原因になっていたのです。

インターネット通販業の資金繰りとは?

インターネット通販業の売掛先(売上入金元)は基本的に「クレジット会社」です。そのため、商品代金の入金には、2か月後(集計から引き落とし→各企業への支払い)となるのが一般的です。

インターネット通販業のほとんどは、月額支払いの商品を展開しています。例えば健康食品系のインターネット通販業は、月々3000円で1カ月分というようなビジネスモデルを行なっています。また、顧客獲得のために、初回半額や、初回無料といったキャンペーンを行なっています。こうしたキャンペーンは顧客獲得のためには有効な手法とされていますが、企業側にすれば、ただでさえ長い入金スパンをさらに自ら伸ばしてしまっているということになります。

その為、いくら新規顧客が増えても、肝心の運転資金が入金されるまでは、手持ちの資金を使って商品の仕入れなどの経費を支払う必要があります。こうした売掛債権の入金サイクルの不安定さが、インターネット通販業の資金繰りを悪化させているのです。

海外ECサイトを展開しているインターネット通販業の資金繰り

近年になって注目されているインターネット通販業ビジネスの一つに海外の顧客をターゲットにした「海外EC事業」が挙げられます。海外の顧客に対して、商品を販売するのは、新規客層の開拓ばかりではなく、海外展開の足掛かり的な戦略も含まれているのは周知の事実でしょう。

しかし、この海外EC事業の需要が高まれば高まる程、インターネット通販業の資金繰りが悪化しているのはあまり触れられていません。どうして新規顧客開拓と海外進出の足掛かりである海外EC事業が資金繰り悪化の原因になるのでしょうか?

それは、海外のインターネット通販業の考え方と、日本のインターネット通販業の考え方が根本から異なるためです。海外の方がインターネット通販業の歴史が古く、顧客のほとんどがインターネット通販業での買い物に慣れているという点も挙げられます。

特に、日本のクーリングオフにあたる返品の文化は、海外の方が知識としてより深く浸透しており、気に入らないと思えば、すぐに返品されるという点も海外EC事業の難しさを物語っています。

また、海外EC事業のネックとなるのが、為替の問題です。商品を日本円で支払ってくれれば問題ありませんが、海外の顧客は日本円を海外通貨に換算して支払ってきます。入金のタイミングが2か月以上遅くなれば、為替のレートも大きく異なってしまい、最悪の場合、会社に入金される頃には実際の販売額を下回ってしまうというケースもあります。

海外EC事業がインターネット通販業の資金繰りを悪化させているのはこうした理由が挙げられます。

ファクタリングでインターネット通販業の資金繰りを改善した成功例とは?

ファクタリングでインターネット通販業の資金繰りを改善した成功例とは?

ここでは実際にファクタリングを活用して資金繰りを改善した企業の成功例を紹介します。

海外生産のローコスト商品を日本国内の有名通販サイトや自社サイトで販売しているインターネット通販業

発展途上国である中国やタイなどに工場を持ち、生産された商品を輸入し、日本国内の有名通販サイトや自社サイトで販売している会社です。

この会社は事業開始から5年が経過しており、売上も順調に伸ばしていました。しかし商品の質の低下によって返品などが相次ぎ、資金繰りが悪化してしまったため、ファクタリングを活用して資金難を逃れたというケースです。

この会社の根本的な原因は、「検品作業の甘さ」でした。検品作業をきちんと行なっていれば、不良品を輸入しなくても済んだはずですし、返品騒ぎにまで発展することも無かったでしょう。検品作業が甘かったために物流コストや人件費、不良在庫の増加などを招いてしまいました。

そして追い討ちをかけるように、発展途上国でありがちの「生産工場でのストライキ」が起こってしまいます。人件費が高騰し、商品の値上げをせざるを得なくなり、広告費が膨大な額に膨れ上がってしまいました。当初は流動資産で対応出来ていましたが、無限にあるわけではない流動資産も底を突き始め、融資に頼らざるを得ない状況まで陥ってしまいました。

しかし、すでに銀行から融資を受けていたため、追加での融資が認められることはなく、このまま倒産も覚悟していた時にファクタリングに出会いました。申し込みから3日後に売上としてクレジット会社から入金される売掛債権を資金化することに成功しました。

現在は、ファクタリング業者と年契約を行ない、資金繰りで困らないようにファクタリング費用を年予算に組み込んでいるそうです。海外に生産工場をもっている企業程、ファクタリングの恩恵をフルに享受できたケースですね。

初回購入費用を低額で設定しているインターネット通販業

新規顧客開拓のため、テレビや新聞、雑誌などに広告を打ち、商品の初回購入費用を低額、もしくは無料で提供しているインターネット通販業のケースです。

主流である健康食品やサプリメントのインターネット通販業はライバルも多く、広告費用と原価の安さ、効果の高さで勝負していました。初回費用低額のキャンペーンは、期間限定と謳いつつも、その期間は特に設定されておらず、基本的にいつでも初回低額というのが当たり前になっています。

こうした初回低額キャンペーンは、最初の商品購入までの入金が遅く、広告費用をかければかけるほど顧客は増えますが、資金繰りは悪化していくビジネススキームと言えます。また、新規開業した企業ほど、こうしたキャンペーンに頼らざるを得ないという点も資金繰りを悪化させる原因の一つです。

銀行融資も開業から年数が経過していないことから、審査に通りづらく、金策で駆けずりまわるケースも少なくありません。こうした問題に直面した折、ファクタリングと出会いました。

ファクタリングを使って、売掛債権全てを資金化するのではなく、売掛の一部を資金化することで、手数料によるデメリットを最小限にしました。これによって資金繰りを健全化し、利益をきちんと確保することが出来ました。ファクタリングのメリットは、資金化までのスピードや、審査といったことだけではなく、企業にとってきちんと利益を確保できるという点も挙げられますね。

インターネット通販業の苦しい資金繰りを助けるファクタリング

インターネット通販業の苦しい資金繰りを助けるファクタリング

インターネット通販業は入金サイクルが長く、急な需要の高まりによっては、資金繰りが悪化するケースもあります。せっかくのビジネスチャンスを「資金不足」という理由で見送らなければなりませんし、資金繰りの悪化によって、黒字倒産というケースも起こり得ます。競合他社も多く、類似商品に関しては、情報の奪い合いが日常茶飯事の世界とも言えます。

泣き所である「資金繰り」さえ何とかすれば、ビジネスを拡大させて、急な需要にも対応できるのに…と思ったことは一度や二度ではないはず。ファクタリングを使って、インターネット通販業の資金繰りを健全化させ、より大きなビジネスチャンスを掴んでくださいね。