給与ファクタリングの需要が大きく伸びている ただしグレーなサービスであることは否定できない

ファクタリングは、売掛債権を売却し資金化をする法人企業向けに行われている資金調達の方法です。近年、ファクタリング業界は、法改正や経済産業省の推奨などにより急成長を遂げています。

それに伴い、ファクタリング業界にも売掛債権だけの取引に収まらない個人向けのファクタリングも新規参入しています、特に、給与ファクタリングの需要が増加には目立つものがあり、一般化している傾向があるのです。

ここでは給与ファクタリングとは何なのかということや、今後一般化していくであろう給料債権ファクタリングについて解説していきます。

給与ファクタリングとはそもそも何?

給与ファクタリングとはそもそも何?

給料ファクタリングとは、給料を債権と見なし、給料日の前に労働で得た賃金を早期に資金化することです。簡単にいうと、個人向けのファクタリングサービスです。

給料は、本来であれば労働の対価として後日支払われるものです。目線を変えると、会社から個人への債権であり、給料債権であるということがいえます。このことから、売掛債権を買取り、資金化をするファクタリングに照らし合わせ、給料債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、資金=現金を手にすることができるというのが給料ファクタリングの仕組みです。

給料の前借との違い

給与前借とは、働いた分の給料を給料日よりも前に支給することです。給料日には前借分の給料が差し引かれた状態で支給されます。ただし、この取引自体は雇用主との契約上できないこともあります。どうしてもお金が必要になって給料前借を頼んでも、経営者によっては認められないケースもあります。

給与ファクタリングは、こうした前借できない給料を、債権として扱うことで早期に現金を手に入れることができます。前借と違い、数%の手数料が発生する点がデメリットではあります。働いた分の給料の数%を手数料として支払うことで、早期に現金を手に入れることが可能です。

法人ファクタリングとの違いは債権の種類

法人ファクタリングと給与ファクタリングの違いは債権の種類です。それぞれのファクタリングで、このような債権を売却します。

  • 法人ファクタリングの場合:売掛債権
  • 給与ファクタリングの場合:給与債権

給与ファクタリングであれば、個人が労働に対して得た給与がファクタリングの対象となるため、個人でのファクタリング契約が可能です。

給与ファクタリングのメリットは?

給与ファクタリングのメリットは?

法人でのファクタリングは、緊急の資金を確保するための資金調達方法ということが大きなメリットの1つです。それでは、個人を対象にした給与ファクタリングのメリットはどこにあるのでしょうか。

借金ではないため信用情報に傷がつかない

ファクタリングは、貸金業ではありません。利用者の信用よりも給与を支払う会社側の信用が重要です。そのため、利用者は、信用情報に傷がつく恐れもないので、住宅ローンや自動車ローンといった審査を要する借入に対して悪影響を及ぼすことなく、現金を給料日前に手にすることが可能です。

信用情報に傷が付かないということは、各種ローンの審査でも良い影響を与えてくれます。将来的に自宅の購入や自動車ローンを組みたいと考えているのであれば、借入をするよりもファクタリングで必要な現金を手に入れた方が審査通過もしやすくなります。

ブラックリストでも利用できる

先にも述べましたが、給料ファクタリングは借入ではありません。個人ローンやカードローンの審査は、申込をした利用者の年収などがチェックされ融資可能かどうかを判断します。債務履歴や、クレジットヒストリーがネガティブな状態であれば、融資そのものが断られてしまいます。

給料ファクタリングは、勤め先の給料がきちんと支払われることが審査の対象です。そのため、過去に起こした多重債務や返済遅延、債務整理といった金銭トラブルでブラック状態となっていても、給料ファクタリングによる現金化が可能なのです。金融機関やカードローン会社からの融資を受けられないという方でも利用することができるのです。

様々な給与ファクタリングが展開している?

様々な給与ファクタリングが展開している?

ファクタリング会社は本来、企業が保有している売掛債権を買い取ることを前提としていました。

しかし、ファクタリングに対するハードルが低くなり、給与ファクタリングを含め、さまざまなファクタリングが展開されています。

フリーランス向けファクタリング会社もある

近年、フリーランス向けのファクタリング会社が増加傾向にあります。以前は、売掛元が企業に限られていましたが、現状では、売掛債権(請求書や領収書)があれば、条件付きで個人でも法人でも関係なく実行できるようになりました。

フリーランス向けのファクタリング会社は、生活基盤の不安定なフリーランスにはうってつけのサービスです。債権自体は、請求書や契約書、成果物の納品を証明するエビデンスを元に審査されます。フリーランスのファクタリングは、特にクラウドソーシングサイトを利用している人にとっては大きなメリットです。

クラウドソーシングサイトのほとんどは、月末締め翌月15日払いという風に、成果物を納品してから最低でも1ヶ月以上待たなくては入金されません。どれだけ仕事をしても給料日が1ヶ月半後というのは、モチベーションにも影響しますし、生活費の計算もしづらくなってしまいます。

こうしたフリーランスの悩みを解決してくれるのが、フリーランス専用給料ファクタリングというわけです。

今後増える可能性大な理由は債権法の改正

現行の債権法では、債権譲渡禁止特約がファクタリングにおける壁ともいえます。譲渡禁止特約とは、売掛先が売掛元に対し、債権譲渡を禁止するものです。ファクタリング会社は、この譲渡禁止特約がある債権は基本的に買取ができませんでした。

しかし、2020年4月から施行される債権法(民法466条)の改正によって、譲渡禁止特約があったとしても、売掛先に通知さえすれば、買取が可能になったのです。こうした動きは、今後個人レベルまで法律が細かく制定される可能性を示唆しています。

給料ファクタリングは本来労働基準法ではNGな取引です。「本人への直接払の原則」があるため、給料ファクタリングの基本は個人とファクタリング会社によるBtoC取引ということになります。ファクタリングでいう所の2社間ファクタリングの形です。

利用者は給料が入金されたら、そのままファクタリング会社に全額を送金します。事前に調達した現金と、給料の差額分がファクタリング会社の利益になります。

債権法の改正によって、今後給料ファクタリング以外でもファクタリング取引を行なうサービスは増えていくことが予想されています。どんどん便利な世の中になっていくということですね。

ファクタリングが生活レベルまで浸透している

先ほども述べましたが、ファクタリング取引が生活レベルまで浸透しつつあります。ファクタリングは欧米では当たり前の商取引です。日本は現金主義、手形主義の国ですから、ファクタリングのような商取引にはあまりなじみがありません。

今後ファクタリングが生活レベルまで落とし込まれ、認知度が高くなれば、日本の経済界は大きく変化を迎えるでしょう。黒字倒産をする中小企業も少なくなるでしょうし、給料前にキャッシングサービスを利用するといったカードローン系の消費活動も抑えられるはずです。今後の展開を注意深く見守っていく必要がありますね。