ファクタリングは銀行融資や行政からの補助金・助成金と比べるとメリットが多い資金調達方法です。しかし、手数料の高さがネックになる場合もあります。本来手元に残るはずだった資金が減ってしまうのは企業にとって大きな痛手です。
必要な手数料をできるだけ抑える為には、交渉や相見積もりが重要です。ファクタリングの特徴である短期間での資金確保と、面倒な審査が不要という大きなメリットを活かしつつ、手数料を抑える為の方法を確認していきます。
ファクタリング手数料は交渉次第で下げる事が可能な理由
ファクタリングに必要な手数料は、ファクタリング業者が負うリスクの大きさによって決まります。企業から購入する売掛債権をきちんと回収できるかどうかは不明確であり、振り込んだお金をどのように使われるかもコントロールできません。最悪の場合には売掛先が倒産してしまい回収不可能という事もありえます。
また、ファクタリング会社の手数料が著しく高い場合には、ファクタリング利用者自体が寄り付かなくなってしまいます。利用者側としては、きちんとファクタリング会社の相場状況を把握し、上手く交渉をする事で、手数料を下げられる可能性が大きいです。
ファクタリング手数料は信頼性が大きく影響する
ファクタリング会社が感じるリスクをできる限り小さくする為には、利用企業としてきちんと売掛金の入金後を行なう信頼性がある事を示す必要があります。人間的にも信頼できると判断してもらえれば、交渉に応じてもらえます。
手数料の額は法律で決まっている訳ではなく、企業や担当者の裁量によって決められる部分も大きいです。その為、きちんとコミュニケーションを取り、熱意を伝える事も信頼を積み重ねる為には重要な要素です。
また、過去に銀行からの借り入れを返済した実績や、他のファクタリング業者との取引実績がある場合には、材料として使えます。
ファクタリング業者間の顧客の奪い合いが起こっている
一般的にはあまり知られていませんが、ファクタリング事業を行っている企業は約100社にも及びます。一方で、事業が上手くいかずに廃業せざるを得ないファクタリング会社も複数あり、競争環境は厳しいです。
実際に、ファクタリング業者間で顧客の奪い合いが起こっており、手数料が高すぎると利用してもらえません。顧客を確保する為に、交渉に応じて手数料を引き下げる業者がいるのも事実です。
ファクタリング手数料を下げる交渉材料は?
ファクタリングにおける手数料を下げる為の交渉材料となるのは、
- 利用者の熱意
- 過去の返済実績
- 定期的、長期的な利用契約
- 他社の見積もり結果
- 売掛債権の信頼性アピール
- 企業の実績
など、さまざまな要素があります。この中で過去の実績がなくても実現できる長期的な利用契約と相見積もりに関して深く掘り下げていきます。
長期的な契約も視野に入れる
キャッシュフローを健全化する為には、単発のファクタリングではなく、継続利用の検討が必要です。あらかじめ財務状況の健全化に向けた計画を立て、ファクタリング業者に明示する事で、手数料の減額交渉ができます。
長期的に、複数回利用するという事はファクタリングの取引実績もついて信頼性も上がります。また、ファクタリング業者が最終的に受け取れる手数料の合計額も大きくなる為、双方にとってメリットが大きいです。
相見積もりを取る
競争が激化しているファクタリング業界には、複数の業者があります。裁量の要素が大きい手数料は、業者によって大きく変わる可能性がある為、相見積もりを取る事が重要です。結果的に数%以上もの手数料を減額できる事もあります。ファクタリングで資金化する売掛債権の額が大きいほど、数%の違いが利益に影響します。
見積もりを出す際に準備する資料は面倒ですが、多少の手間で手元に残る資金が大きく変わるのであれば、相見積もりに取り組む意味があります。時には業者同士で競争をさせる事も有効です。ただし、同じ業者に対して複数回の競争は止めるべきです。信頼性が重要なファクタリングにおいて信頼関係を壊すことにつながる行為は避けなくてはなりません。
交渉で下がらない手数料とは何?
手数料は交渉に応じて減額してもらえる可能性がありますが、ファクタリング取引で発生する経費構成要素の一部はどうしても下げられません。具体的には、どのような手数料を下げられないのか確認をしていきます。
契約に必要な手数料は別
まず1つ目はファクタリング契約を結ぶ為に必要な手数料です。業者の利益ではなく、実際にかかってくる費用の為減額できません。
具体的には、売掛債権を譲渡する契約に必要な事務代行手数料で、ファクタリング業者が自社で実施しない場合もあります。また、交通費や紹介料なども契約に必要な資金として実費がかかっている為、減額は難しいです。
登記費用は下げられない
減額できない手数料の中で最も大きいのは、登記に関する費用です。これは、契約金額の大小によらず必ず必要になる費用の為、あらかじめ減額できないと理解しておく必要があります。司法書士への支払いや登記書類の作成に必要です。
登記費用まで減額の交渉をしてしまうと、人間性を疑われ、本来交渉の余地があった手数料さえも減額してもらえなくなる可能性があります。信頼を失わないように気をつける事が重要です。
手数料の交渉は相見積もりと期間契約を材料に!
ファクタリングで資金調達をする際に大きなデメリットとなる手数料ですが、法律で明確に決まっている訳ではありません。業者ごと、また担当者ごとに裁量で決まっている部分が大きい為、交渉の余地は十分にあります。
きちんと人間関係を構築し、信頼性を確保する事が重要です。期日通りの送金など信頼でき要素が多くなれば、ファクタリング会社のリスクも少なくて済みます。また、更なる手数料の減額を引き出す為には、相見積もりや長期間の契約が有効になります。
顧客争いの激しいファクタリング業界では、手数料を下げてでも顧客を獲得しようとする動きがあります。相見積もりを取る際には3社以上に見積もりを出し、各社に競争をさせるのが有効です。ただし、やりすぎは信頼を損ねる結果に繋がるリスクがあります。
積極的に相見積もりや長期間契約を持ち出し交渉する事で、必要な資金の調達を効果的に進めることをオススメします。ただし人間関係を壊さないように誠意を持って粘り強く交渉する事は忘れないようにしてくださいね。