即時振込サービス「モアタイムシステム」がファクタリングにとって追い風になっていることをご存知ですか?これまで銀行振込は、主に15:00以降の振込は、翌営業日に振込処理がされていました。しかし、昨今の金融サービスの24時間化に伴い、資金移動手段である振込サービスも徐々に進化しているのです。
ここでは、即時振込サービス「モアタイムシステム」がファクタリングにどのようなポジティブな影響を与えているのかということについてくわしく解説していきます。
モアタイムシステムとは何なのか?
2018年10月9日から稼働が開始された、国内銀行間の送金時間を24時間にするシステムが「モアタイムシステム」です。このベースになっているのは、1973年に稼働が開始された「全国銀行通信システム」、通称「全銀システム」がベースになっています。
これまで銀行間の送金は、銀行の営業時間に合わせて平日の8:30~15:30(銀行によって異なる)までが当日中の処理を行なえていました。営業時間外や土日祝日は送金などが一切できないことが近年のネックだったのです。
こうした営業時間外や土日祝日の送金処理を可能にしたのがモアタイムシステムなのです。
現状モアタイムシステムを運用している主要銀行
2019年7月現在でモアタイムシステムを運用している主な銀行をピックアップしました。
都市銀行5行
三菱UFJ銀行 みずほ銀行 三井住友銀行 埼玉りそな銀行 りそな銀行
地方銀行63行
北海道銀行 青森銀行 スルガ銀行 四国銀行 福岡銀行 七十七銀行 大垣共立銀行 筑邦銀行 東邦銀行 十六銀行 佐賀銀行 群馬銀行 三重銀行 十八銀行 足利銀行 百五銀行 親和銀行 常陽銀行 関西みらい銀行 千葉銀行 池田泉州銀行 琉球銀行 横浜銀行 沖縄銀行 第四銀行 但馬銀行 西日本シティ銀行 北越銀行 鳥取銀行 北九州銀行 等
第二地銀協加盟銀行30行
北洋銀行 神奈川銀行 みなと銀行 きらやか銀行 大光銀行 島根銀行 北日本銀行 長野銀行 トマト銀行 仙台銀行 富山第一銀行 もみじ銀行 福島銀行 静岡中央銀行 西京銀行 大東銀行 愛知銀行 徳島銀行 東和銀行 名古屋銀行 香川銀行 栃木銀行 中京銀行 愛媛銀行 京葉銀行 第三銀行 高知銀行 東京スター銀行 大正銀行 熊本銀行
信託銀行3行
三菱UFJ信託銀行 三井住友信託銀行 オリックス銀行
外国銀行2行
シティバンク エヌ・エイ
その他銀行ネット銀行12行
ジャパンネット銀行 じぶん銀行 SBJ銀行 セブン銀行 イオン銀行 ゆうちょ銀行 ソニー銀行 大和ネクスト銀行 楽天銀行 GMОあおぞらネット銀行 住信SBIネット銀行 新生銀行
信用金庫256行
信用組合141行
合計で511の金融機関がモアタイムシステムを稼働させています。
モアタイムシステムを運用していない銀行とその理由は?
逆にモアタイムシステムを稼働させていない金融機関にはどのような所があるのでしょうか。
中央金庫
- 農林中央金庫
- 信金中央金庫
- 商工組合中央金庫
信用組合
- 山形県医師信用組合
- 三重県職員信用組合
- 呉市職員信用組合福岡県庁信用組合
- 福岡県医師信用組合
その他銀行・ネット銀行
- あおぞら銀行
- ローソン銀行
- 労働銀行全て
まず前提として、モアタイムシステムは、ほぼ全ての金融機関で稼働する見込みです。現状モアタイムシステムが稼働していない金融機関は、まだ設立して間もない新規銀行や、特定地域の職業組合、労働金庫など、特殊な事情が大半です。
中には、今後合併や統合などを控えていることからモアタイムシステムの稼働をしていないという金融機関もあります。
モアタイムシステムとファクタリングの関係とは?
モアタイムシステムとファクタリング。この二つは今後切っても切れない中になることは間違いありません。
企業は24時間営業中
銀行の営業時間は9:00~15:00のコアタイムと言われている時間帯です。しかし、一般企業は土日でも営業しているところもありますよね。飲食などのサービス業しかり、ホテルなどの宿泊業など土日祝日関係なく24時間営業しているところも少なくありません。
こうした日本企業の営業時間の変化が、モアタイムシステムの開始に大きな影響を与えていることは間違いありません。では、この営業時間の変化はファクタリングにどう関係するのでしょうか。
資金繰りは1分1秒が勝負
最近多くなってきたのが、中小零細企業の黒字倒産です。黒字倒産とは、帳簿上は黒字経営ではあるものの、運転資金が手元になく、経費の支払いができずに少額の負債で倒産してしまうことです。この「帳簿上は黒字」という状態を作っているのが、「売掛債権」です。
ファクタリングは、この売掛債権を第三者であるファクタリング業者に買い取ってもらうことで資金を調達する金融工学です。企業同士が24時間営業をしているのであれば、支払い自体も24時間対応をせざるを得ません。急な商品の納入や、繁忙期の人件費など、多くの経費が24時間発生し続けているのです。
売掛債権を資金化するファクタリングは、本来入金される期日よりも前に資金を調達できます。これにより、企業の経費が支払えないことによる黒字倒産を防げます。まさに資金繰りも1分1秒が命運を分ける時代になったのです。
モアタイムシステムが無ければファクタリングはどうなる?
もしモアタイムシステムが稼働していなければ、ファクタリングにどう影響するのでしょうか。
経費支払いができずに黒字倒産する可能性もある
例えば、金曜日の午後に急な経費の支払いが発生したとします。その経費を払えなければ取引先も倒産の危機を迎えてしまい連鎖倒産する可能性もあります。この時、手元に残っているのは入金期日前の売掛債権だけ。
ファクタリングは期日前に売掛債権を資金化できる方法ではありますが、それなりの手続きが必要ですし、申し込んですぐに資金調達できるわけではありません。当日に資金化できたとしても、銀行の送金時間に間に合わなければ資金の調達は翌営業日ということになりますし、もし万が一申込時に必要な書類に、不備などがあれば、次の日に契約が持ち越されることもあります。
モアタイムシステムがあれば、次の日であっても、即口座にファクタリングで得た資金が入金されますが、モアタイムシステムが無ければ、翌営業日である月曜日、もしくは長期休み明け(ゴールデンウィークやお盆、正月など)にしか資金が手に入りません。
結果的に支払いができずに取引先が倒産し、自社も連鎖的に倒産してしまう可能性があるのです。
必要なタイミングで資金調達ができなくなりビジネスチャンスを逃す
ファクタリング契約はできたのに、送金時間がコアタイムを過ぎてしまったせいで、資金調達時間が遅れてしまいビジネスチャンスを逃してしまいます。
例えば、テレビの企画で人気タレントが「この商品すごい!」と言おうものなら、その一言による経済効果は数億円規模になることもありますよね。資金不足は、こうした急なビジネスチャンスを逃すことにも繋がってしまうのです。
モアタイムシステムがファクタリングの有用性をさらに高めている
モアタイムシステムは、ファクタリングのみならず、日本の経済界を活性化させる重要な役割を担っています。今後稼働させる金融機関も多くなってくると見込まれており、日本=24時間銀行が開いている国として諸外国から認識されるのも時間の問題です。
ファクタリングをより有用性の高い金融工学にするためにも、モアタイムシステムは欠かせないシステムなのです。