銀行系のファクタリングは審査が厳しい現実があり、資金調達しにくいといわれています。しかし、一度審査に通ってしまえば、民間のファクタリング会社以上にメリットを享受できるため、利用可能なのであれば申し込みをしてみても良いでしょう。

しかしなぜ銀行系ファクタリングは審査が厳しいといわれているのでしょうか。一般のファクタリング業者との違いや、銀行系ファクタリングがもたらすメリットを中心に解説していきます。

銀行系ファクタリングはなぜ審査が厳しいといわれているのか?

銀行系ファクタリングは、一般のファクタリング業者に比べて審査通過率が低いといわれていますが、それはどうしてなのでしょうか?実は銀行系ファクタリングは、一般ファクタリングの審査や申し込みとはかなり異なった対応をしているからなのです。

面談取引は必須!申込者の人柄も判断されるケースも

銀行系ファクタリング業者に申込を行なう際には、面談が必須です。申込者の人柄が判断されるケースもあります。

一般のファクタリング業者の中には、ファクタリングの申込から入金(資金化して申込者の指定口座に振り込まれること)まで、インターネットでのやり取りのみでOKという所もあります。また、緊急時の利用を想定して、電話一本で資金化し、後日必要書類などの提出を行なう形でもOKにしている業者も。実質、ファクタリング会社の担当者と面談無しで資金調達できるのが、一般ファクタリング業者の特徴です。

対して銀行系ファクタリングは、売掛債権を買い取る立場の業者母体が銀行であるため、一般のファクタリング審査よりもさらに厳しい審査が行なわれます。もちろん銀行系ファクタリング業者によって、審査内容は異なりますが、最低限必要なのが申込時の面談です。

面談では、ファクタリング後の資金がどのように使われるのかという資金目的や、売掛先との取引履歴全てなど、細かい項目がヒアリングされます。これらの面談内容は、一般ファクタリング業者では、書面提出のみでOKな場合が多いです。銀行系ファクタリングは、面談を行なって詳細をヒアリングすることで申込者の人柄をチェックすることが多いようです。

売掛先だけではなく売掛元の財務状況もチェックされる

銀行系ファクタリングの審査では、一般のファクタリング業者と異なり売掛先の財務状況だけではなく、申込者である売掛元の審査を行なうところもあります。ファクタリングのメリットである「審査対象が売掛先に限定されるため、赤字決算でも申込可能」という部分が見込めないのです。

そのため、赤字経営や自転車操業で財務状況が悪化している企業は、全く利用できないということになってしまうのです。

一般のファクタリング業者との違いは?

銀行系のファクタリングと一般のファクタリング業者にはどのような違いがあるのでしょうか?ここでは、利用できるファクタリング手法と、銀行系ファクタリングならではの違いについて解説します。

3社間ファクタリングしか選べない

一般のファクタリング業者では、売掛先に債権譲渡通知義務が無い2社間ファクタリングをメインにしていますが、銀行系ファクタリングは売掛先と売掛元、そしてファクタリング業者の3者で契約が取り交わされる3社間ファクタリングをデフォルトにしています。

2社間ファクタリングは、債権譲渡通知を売掛先に通知する義務が無いため、財務状況を売掛先に知られたくない企業に人気のファクタリング方法です。しかし、天下の銀行が一般ファクタリング業者と同じように、債権譲渡通知義務が無いからといって、売掛先に通知しないという訳にもいきません。

銀行そのもののイメージ悪化にも繋がりますし、万が一売掛先が取引銀行で合った場合には取引停止ということにもなりかねません。そのため、銀行系ファクタリングでは、2社間ファクタリングはほぼ望めないということを覚えておきましょう。

審査結果が銀行の他サービスに影響する

ファクタリング審査に落ちても一般のファクタリング業者から、何かしらのペナルティを与えられることはありません。しかし、銀行系ファクタリングは、審査結果如何では、銀行の他の金融サービスを利用する際の審査に大きく影響してしまうのです。

審査結果というよりも審査で発覚した、ネガティブな財務状況が、将来的な大口融資の審査合否に影響します。また、現在融資中の場合も同様、金利引き下げ交渉や、追加融資などができなくなる可能性もあるのです。

銀行系ファクタリングを利用する際は、慎重に慎重を重ねた上で申し込みを行なってくださいね。

銀行系ファクタリングにはメリットも多い

銀行系ファクタリングのネガティブな部分の解説をしてきましたが、メリットもあります。ここでは、銀行系ファクタリングの持つ大きなメリットについて解説していきます。

手数料がかなり安い

一般のファクタリング手数料の相場は、2社間ファクタリングが10%~30%、3社間ファクタリングが5%~10%といわれています。銀行系ファクタリングは、3社間ファクタリングの最安%である5%よりも低い所が多いです。

売掛債権や売掛先、売掛元の財務状態にもよりますが、中には1%~3%という手数料で資金調達ができたという企業も。比較的手数料が安くなりやすい医療・福祉系ファクタリングでも、下限値が5%程度ですからその安さは破格ということになりますね。

保証ファクタリングなど特殊なファクタリングができる

保証ファクタリングとは一般的な2社間ファクタリングや3社間ファクタリングと違い、資金化する金融工学ではなく、売掛債権が回収不能になった場合に適用される、保険のような役割をもつファクタリング手法です。

一般のファクタリング業者では、ほとんど実施していないファクタリング方法で、民間では数社しか保証ファクタリングを行なっていません。銀行ファクタリングでは、保証ファクタリング以外にも国際ファクタリングや一括ファクタリングなどが利用できます。

それぞれの特徴やメリット、デメリットを把握して利用すれば、企業の成長にも繋がりますし、財務基盤の強化も見込めますね。

銀行系ファクタリングを利用する場合は審査対策をしっかりと行なう

銀行系ファクタリングを申し込むのは、ハッキリいって超ハイリスクハイリターンです。一般のファクタリング業者と同じ感覚で申し込むと大やけどをしてしまう可能性もあります。銀行系ファクタリングを利用して、手持ちの売掛債権を資金化したいのであれば、財務状況の改善はもちろん、決算時の赤字計上が無い状態で申し込むことをオススメします。

財務状況が悪い企業は、まずは一般ファクタリングを利用して、財務状況の改善を行ないましょう。