総量規制とは年収の3分の1までしか借り入れできないこと 事業者は対象外となることも

ビジネスローンの仕組み
 
 
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ビジネスローンや銀行融資などの借り入れによる資金調達を検討した際、総量規制という言葉を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

総量規制とは、「年収の3分の1以上のお金を借りることができない」という法律です。これは1社からというわけではなく、すべての貸金業社からの合計の金額ということになります。

そのためもし年収が300万円であった場合、100万円までしか借り入れをすることができません。

 

総量規制について
極端な例を挙げてみよう。日本国内に貸金業者が100社あったとする。そのうちの1社から、年収300万円の人が100万円借りていたとしよう。すると残りの99社からは1円も借りることができない。これが総量規制だ。

 

総量規制とは年収の3分の1以上借りられないという法律

総量規制というのは、「貸金業者から借りた金額の合計が年収の3分の1を超えてはいけない」という法律です。

年収300万円の人は3分の1の100万円までしか借り入れができません。たとえば既に50万円を他の貸金業者から借り入れをしていたのであれば、新たに50万円までしか借りれません。

貸金業者とは、難しい言い方をすると「お金を貸し付ける業務を行っている業者」のことです。銀行、信用金庫、信用組合などは融資を行っていますが、貸金業者ではありません。消費者金融、クレジットカード会社などが貸金業者にあたります。

銀行は貸金業者に該当しない

具体性を持たせるために数字を出して説明していきます。

年収300万円の人が銀行から100万円借り入れをしていたとします。そして新たに貸金業社からお金を借りたいと考えていたとしましょう。銀行からの借り入れは総量規制の対象にはなっていません。なぜなら銀行は貸金業社ではないためです。そのため貸金業者から年収の3分の1である100万円を借り入れることが出来ます。

貸金業者から借金している場合

一方、年収300万円の人が貸金業社から100万円借り入れをしていたとします。そして新たに貸金業社からお金を借りたいと考えていたとしましょう。貸金業社からの借り入れは総量規制の対象になっています。そのため新たに貸金業者から借り入れすることができません。

A社B社C社借り入れ金合計
年収300万円100万円××100万円
50万円30万円20万円100万円
年収300万円100万円××100万円
(銀行から100万円借り入れ有)50万円30万円20万円100万円

年収は手取りではなく総支給額

年収の3分の1を超えてはいけないとなっていますが、年収というのは所得税や住民税などの税金、厚生年金保険料、健康保険料など保険料が差し引かれる前の年間総支給額のことをいいます。

源泉徴収票では左上にある「支払金額」という項目が年収にあたります。

つまり毎月会社から給与として20万円振り込まれていたとします。しかしそれは手取りの給与であり所得税や住民税などが差し引かれた金額となります。一般論となってしまいますが、手取りで20万円もらっているのであれば、総支給額は25万円前後ではないでしょうか。

総量規制で重要となってくるのは「総支給額」であるため、毎月総支給額で25万円もらっているとすれば「25万円×12ヶ月+賞与(ボーナス)」が年収ということになります。

総量規制の対象外となる借り入れもある

総量規制によって年収の3分の1を超える借り入れはできませんが対象外となる場合もあります。

たとえば先ほども例に挙げた銀行からの借り入れです。銀行は貸金業者ではないため、総量規制の対象外ということになります。

またクレジットカードで商品を購入するショッピングも総量規制の対象外です。ただしクレジットカードのキャッシング枠で現金を借りた場合は総量規制の対象となり、年収の3分の1を超える借り入れは禁止されます。

つまりクレジットカードで商品を購入する場合は総量規制の対象外となりますが、クレジットカードでお金を借りる場合には総量規制の対象となるのです。

対象外になる貸付として「除外貸付け」「例外貸付け」というものもあります。

「除外貸付け」 高額で年収の3分の1を設定しづらいもの

「除外貸付け」とは、「住宅ローンや自動車ローンなどの高額な借金は総量規制の対象から除外する」といったものです。

住宅ローンや自動車ローンといった高額な商品が総量規制の対象になってしまうと、年収の3分の1で借り入れしても全然足らず購入できなくなってしまうためです。

その他には以下が例として挙げられます。

除外貸付け 例
  • 自動車購入時の自動車担保貸付け(自動車ローン)
  • 不動産購入のための貸付け(住宅ローン)
  • 有価証券担保貸付け
  • 高額医療費の貸付け
  • 不動産担保貸付け
  • 金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け

などがあります。どれも金額的に大きなものばかりです。

逆に言うと、「総量規制があるから住宅ローンを組めない」や「総量規制があるから自動車ローンが組めない」といったことはありません。もしそれらのローンを組めないのだとしたら、総量規制の影響ではなく、その他のことが原因と考えられるでしょう。

「例外貸付け」 返済能力に問題なく緊急性が認められるもの

「例外貸付け」とは返済能力に問題がない、借り入れの必要性・緊急性のある場合に例外として許される貸付けです。

ただし例外貸付けは総量規制の対象なので、借り入れ残高が年収の3分の1を超えた場合は除外貸付けや例外貸付けを除いて借り入れできなくなります。

例としては以下の通りです。

例外貸付け 例
  • 顧客に一方的に有利となる借換え
  • 借り入れ残高を段階的に減少させるための借換え
  • 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
  • 個人事業主に対する貸付け(事業計画、収支計画、資金計画により、返済能力を超えないと認められる場合)
  • つなぎ資金にかかる貸付け

などがあります。

顧客に一方的に有利となる借換え、借り入れ残高を段階的に減少させるための借換えは、消費者金融が取り扱っているおまとめローンがこれに当たります。

個人事業主に対する貸付けはビジネスローンがこれに当たりますのビジネスローンには様々な商品がありますが、返済能力があると認められた場合は、総量規制の対象外になり、上限に制約はなくなります。ただし、商品によって最大限度額は異なるのでビジネスローンを検討する際は確認しておくと良いでしょう。

参照 ビジネスローン

 

ビジネスローンは例外貸付に該当する しかし審査が通るかは別の話

総量規制は一般的に個人に該当するものです。個人というのは一般的なサラリーマンやアルバイト、派遣社員といった人たちのことを指します。

ビジネスローンは事業者が利用するものです。事業者とは個人事業の代表であったり、法人の代表、いわゆる社長と言われる人たちのことを指します。

一般論での話をしますが、個人事業主でも法人事業者でも、ビジネスローンを利用する際には総量規制は対象外となります。

しかしここで注意すべきことがあります。

事業用目的として、運転資金や事業資金をビジネスローンで調達する場合、実際に貸してくれるかどうかは、各貸金業者の判断となります。そのため貸金業者の審査が通らない可能性はあります。

借り入れはできても無理のない返済計画を

総量規制というのは、年収3分の1を超えた金額を借り入れることが出来ないというものです。返済能力を超えた借り入れをして資金繰りが出来なくなってしまった場合、自己破産などの可能性があります。そのようなことを防ぐために総量規制が存在します。

また貸金業者側としても、自己破産されてしまったら貸したお金が返ってきません。そのためお金を貸す側を守るためにも、この法律が存在するのです。

総量規制の限度まで借り入れをして、さらに総量規制対象外であるからといって安易に借り入れしてしまうと、返済が追い付かず自分を苦しめる結果になってしまいます。どんな借金でも言えることですが、自分の収入がどれくらいあるか、返済にはいくら使えるのかなど充分に検討したうえで無理のない借り入れを心掛けるようにしましょう。

 

総量規制について 「仕事と私生活は別物」
ということで総量規制とは「お金を借りる側」と「お金を貸す側」の両方を守る法律と言える。ただし事業者が事業用のために利用するローンは総量規制の対象外となるケースがほとんどだ。「仕事と私生活は別物」という認識だ。

 

参照 総量規制とは(金融庁)

 

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株式会社デキタ
株式会社デキタの代表取締役。資金調達に関する知識を身に付けるために「ファクタリングで資金調達デキタ!」を制作・運営。その延長線上で、事業者の利用する資金調達方法に焦点を当てた当サイトを企画・制作・運営。 資金調達に関する記事執筆は2018年より開始。複数の税理士やファイナンシャルプランナーと交流しながら、記事執筆をつづける。