売掛金が入らないと運転資金が不足し、会社経営は悪化してしまいます。
売掛金とは、売上金額を後日受け取る権利のことです。中小企業の多くがもっているものであり、売上の大半を占める大切な収入源となります。
参照 売掛金とは?
売掛金の回収がスムーズにできなくなると、社内の資金繰りがうまくいかず運転資金が減少し経営難に陥ってしまいます。会社の運営に必要な仕入れ代金や人件費も払えなくなり、最悪の場合は倒産してしまうこともあるのです。まさに負のスパイラルに突入してしまうのです。
目次
売掛金が入金されないと運転資金が不足する
売掛金が入金されないと、さまざまな悪影響が発生します。
事業者にとって大きな財源である売掛金が入ってこなくなった場合、事業を継続するために必要な運転資金や設備資金、つまりは事業資金が減少することとなり、事業経営困難な状況になってしまうのです。
参照 運転資金と設備資金の違い 運転資金は「日頃の営業活動目的」で設備資金は「事業の維持拡大目的」
何としてでもこのような状況を防ぐ必要があります。そして事前に対策を立てておく必要もあります。そうしておかなければ、事業を継続することが大変困難になってしまうのです。
今回は、売掛金が入ってこなかったらどうなってしまうのかを段階的に見て行こう。
売掛金が入ってこないと、事業に次のような影響を引き起こす可能性があります。
- 設備投資などができず生産性が向上しない
- 資金に余裕がなくチャンスロスを起こす
- 従業員への給与や家賃など固定費の支払いが滞る
設備投資などができず生産性が向上しない
事業の効率化を図るためには、設備投資が不可欠です。
設備投資をするためには設備資金が必要となります。たとえば製造業なら、効率的に製品を生産できる最新機器を導入するなどが設備投資にあたります。新商品を生み出すための開発費や人材育成なども投資です。設備投資をすることで生産性が向上して利益率も高くなります。
しかし売掛金が入って来なければ経営状態が悪化します。つまり設備投資に回せる資金の余裕がなくなってしまいます。開発費も捻出できませんし、人材育成もすることができなくなってしまいます。
つまり資金がないということは、生産性は上がらず利益も出ないといった「負のスパイラル」に陥ってしまう可能性があるのです。
参照 運転資金と設備資金の違い 運転資金は「日頃の営業活動目的」で設備資金は「事業の維持拡大目的」
資金に余裕がなくチャンスロスを起こす
チャンスロスとは、本来であれば利益を得ることができたにもかかわらず、何もしなかったために結果的に損失を出してしまうことを指します。
売掛金が入ってこない影響で資金に余裕がなく、次の仕事を行なえない・・・というのがチャンスロスの典型的な例といえます。
例えば取引先から大量発注などのビジネスチャンスがあったにも関わらず、仕入れ用の資金がなくて生産できずに売上を逃したこともチャンスロスに当たります。
これらチャンスロスの原因が、本来入るはずだった売掛金が入らなくて起こったことだとしたら・・・。その可能性は十分考えられるのです。
従業員への給与や家賃など固定費の支払いが滞る
売掛金が入らず資金繰りが苦しくなると、事業の運転資金が足りなくなってしまいます。結果として従業員給料の支払いや家賃の支払いが滞りがちになります。
事業を進めて利益を得るためには従業員は不可欠な存在です。そして彼らの働く場所を確保するのも必要なことです。
給与支払いが遅れれば従業員の仕事に対する意欲は上がりませんし、退職していく従業員が出てきても不思議ではありません。
また職場も、今よりも床面積の狭い賃料の安い場所への移動が余儀なくされます。
結果として、生産性が落ちてしまい、利益を得るための生産・卸売りという経営サイクルが崩れてしまいます。
売掛金が入ってこなければ関連会社も経営の危機に
売掛金が入ってこないことは、自分の会社だけの問題ではありません。自分の会社と関連する会社にも悪影響を及ぼしかねません。
売掛金が入ってこないということは、お金が入ってこないということです。お金がないため、支払わなければならない買掛金を支払えなくなってしまうのです。
売掛金が入ってこなくなって資金繰りが苦しくなると、仕入れ先への支払いが滞ります。すると会社の信用は低下してしまいます。信頼関係を築くためには長い年月が必要ですが、崩れる時は一瞬です。また、支払いが遅れたというマイナスイメージのニュースほど、周りに知られるのはあっという間なのです。
「経営が苦しいらしい」などの悪い評判が広がってしまうと、良好だった取引先との関係もうまくいかなくなり、経営に大きなダメージを与えることもあり得ます。
倒産や解散などの最悪の事態に陥った場合、困るのは自社だけではありません。倒産した事業者の下請け会社や孫請け会社にまで影響が及び、連鎖倒産してしまう可能性もあるのです。
売掛金が入金されないときに行う2つのこと 回収作業と資金調達
売掛金が予定日に入金されないときには、回収作業と資金調達の2つに目を向けたほうがよいでしょう。
まず取引先へ支払いを求め回収作業に動き出しましょう。無駄な時間ではありますが必要なことです。売掛金の回収は事業者が行うこともできますし、代行業者にお願いすることもできます。さらには司法書士や弁護士にお願いすることもできます。
ただし回収がすぐにできないと判断した場合には、自社の資金繰りを改善させる方法を見つける必要があります。つまり外部からの資金調達となります。
たとえば「お金を借りる=融資」という選択肢を選ぶのも1つの方法でしょう。
ビジネスローン
ビジネスローンは別名「事業融資」と呼ばれており、主に事業に必要な資金を借りる融資です。「銀行系」と「ノンバンク系」の2つのパターンがあります。
- メガバンクなどが参入していて信頼性が高い
- 審査が厳しい
- 銀行系ビジネスローンに比べて審査がややゆるい
- ネットで受付を行うなど申込が簡単
どちらのビジネスローンも借金であるため「利息」が必要となります。ビジネスローンのため、借りること自体は比較的簡単です。ただし返すのは相応の労力と時間がかかります。
参照 ビジネスローン
担保融資
担保融資とは、不動産や有価証券などを担保にしてお金を借りることです。
担保の価値によって借りられる金額は異なりますが、比較的高額の融資が受けられます。また、返済期間を長期に設定でき、金利も低いのが魅力です。
しかし、お金が返せない時は、担保を失ってしまうリスクもあります。担保融資を利用する時は「確実にお金を返せる」見通しが立っている時だけにするのが賢明です。
ファクタリング
銀行や街金などの金融機関からお金を借りる選択肢の他に、売掛金を売却するファクタリングという方法があります。売掛金を専門に買い取ってくれるファクタリング会社で、売却譲渡契約を結び資金が手に入るという仕組みです。
ファクタリング会社によって取引方法や手数料に若干の違いはありますが、手続き方法が融資に比べて簡単で、早期に売掛金を現金化できます。何よりもビジネスローンや担保融資と違って「負債」となりません。ファクタリングを利用したからといって経営を圧迫してしまうリスクが少ないのが特徴です。
現金化できるのは、あくまでも売掛金の金額範囲内であり、余分な借金が増える心配もありません。売掛金が膨大な額になって、資金繰りが苦しい企業にとって最適な資金調達方法です。
売掛金が入ってこないからといって諦めたらダメ!
売掛金の回収は経営者にとって深刻な問題であり、時間的にも精神的にも負担が大きい作業です。しかし、売掛金の回収はスピード勝負ともいわれています。取引先企業の入金が遅れたら、まずは相手側に連絡を取ることをおすすめします。
経理上の漏れや単なるミスであれば良いのですが、相手側に何かしら支払いが遅れる原因がある時には要注意です。前述したように売掛金が入ってこなくなると様々な弊害が起き、最悪の場合、倒産する可能性もあるのです。
取引先企業からの入金を待っているだけでは、何の解決にもなりません。自社を守るためにもアクションを起こしてください。融資を受けることにためらいがある場合や既に受けておりこれ以上負債を増やしたくない場合は、ご紹介したファクタリングがおすすめです。
売掛金が入ってこないからといって諦めず、ファクタリングで資金調達をして資金ショートを回避してください。
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