サービス接遇検定とは、文部科学省後援の実務技能検定協会が認定する民間資格の一種です。実務技能検定協会が認定している資格としては、サービス接遇検定のほかに秘書検定やビジネス文書検定、ビジネス実務マナー検定があります。
サービス接遇検定は接客に関するスキルを認定するための資格です。そのため、資格を活用するためには接客に関わる業種で稼ぐ方法を選ぶことが重要になります。
この記事では、サービス接遇検定資格の取得方法と資格を活用して稼ぐ方法。資格を活用して起業する場合に直面する資金問題についてお話していきたいと思います。
目次
サービス接遇検定の資格取得方法
サービス接遇検定は試験に合格することで取得できます。
サービス接遇検定資格は準1級を含む1級~3級までの計4つの段階があります。試験日1日につき最大で3つまでの受験が可能です。資格認定試験はすべての段階で筆記試験が行なわれ、1級のみ面接試験があります。すでに準1級に合格していて、新たに1級を受ける場合は筆記試験が免除になります。
ただし、サービス接遇検定は毎月試験が行なわれるわけではありません。令和4年度は6月と11月、令和5年2月に行なわれています。令和5年度以降の開催日程は公式ホームページから確認するとよいでしょう。
資格認定試験はすべての段階で筆記試験が行なわれ、1級のみ面接試験があります。すでに準1級に合格していて、新たに1級を受ける場合は筆記試験が免除になります。
サービス接遇検定取得に必要な費用
受験費用は以下の通りです。
- 1級…6,500円
- 準1級…4,700円
- 2級…3,900円
- 3級…2,700円
複数の試験を受ける場合はそれぞれの受験費用が必要になります。
勉強方法はサービス接遇検定の公式テキストや試験の元面接官が監修しているテキストなどがあります。テキストで学んだことを日々の接客で活用することでより実践的な知識になるでしょう。
サービス接遇検定試験を受けられる場所
サービス接遇検定試験は筆記試験と面接試験で試験会場が異なります。筆記試験は全国28箇所で行なわれ、面接試験は全国9箇所で行なわれます。試験会場の詳細は受験票に記載されているため、事前にホテルなどの予約をする場合は受験票の到着を待ってから予約するとよいでしょう。
筆記試験と面接試験の地域は以下の通りです。
筆記試験会場地域 | 北海道…札幌市・旭川市東北…仙台市・秋田市・郡山市関東…東京23区・横浜市中部…新潟市・上越市・射水市・金沢市・福井市・松本市・静岡市・名古屋市近畿…豊中市or大阪市・神戸市・姫路市・和歌山市中四国…倉敷市・広島市・光市・松山市九州・沖縄…福岡市・熊本市・大分市・宮崎市・那覇市 |
面接試験会場地域(1級試験) | 札幌市仙台市東京名古屋市大阪市広島市高松市福岡市那覇市 |
サービス接遇検定資格を活用して稼ぐ方法
サービス接遇検定資格を活用して稼ぐ方法としては2通りあります。
- 接客業で雇用される
- 接客業コンサルタントやアドバイザー、サービス業などで起業する
それぞれを詳しくお話しします。
接客業で雇用される
接客業に雇用されて稼ぐ方法です。サービス接遇検定本来の目的は接客力の向上です。接客に関連しない業種では資格を活用できません。サービス接遇検定で得た知識や技術は現場で発揮しなければ意味がないのです。
接客業においてサービス接遇検定を取得していることは給与アップなどに働く可能性があります。
なぜ「可能性」なのかというと、サービス接遇検定の特長を理解している接客業事業者が少ないからです。サービス接遇検定はビジネス系資格の中でも知名度が高くない資格と言われています。そのため、サービス接遇検定資格があったとしても、雇用主が資格取得を有用だと思わなければ、稼ぐことにはつながらないのです。
逆にサービス接遇検定の重要性を理解している事業者であれば、資格を取得していることが優位に働きます。給与アップや事業のサービス力向上のための取り組みに関わることで、インセンティブなども発生しやすくなるでしょう。
接客業コンサルタントやアドバイザー、サービス業などで起業する
サービス接遇検定資格を活用して起業することも可能です。サービス接遇検定1級ともなると、まさに接客のプロと言えます。資格取得の中で得た知識や実務の中で得た経験を活かして、接客業コンサルタントや接客アドバイザーとして起業することで、より稼ぎにつながりやすくなるでしょう。
サービス業や宿泊業といった、接客がメインのサービス業で起業するのも1つの手段です。ただし、その場合はサービス接遇検定資格以外にも複数の資格取得が必要になるケースもあるため、事業の将来像を見据えながら事業計画を立てるとよいでしょう。
サービス接遇検定資格を活用して起業した際に直面する資金問題
サービス接遇検定を活用して起業する場合、一番のネックになるのが「資金問題」です。とくにコンサルタント業やアドバイザー業で起業する場合には黒字倒産に注意しなくてはなりません。
黒字倒産とは、帳簿上は黒字なのにかかわらず、手元に運転資金が無いために倒産してしまうことです。コンサルタント業やアドバイザー業の報酬を売掛契約でもらっている場合、黒字倒産のリスクが高くなります。
コンサルタント業やアドバイザー業といった、商品ではなくサービスをメインの商材にしている事業の場合、広告費の支払いが大きな足枷になります。顧客を獲得するためには、ある程度の広告費は必要になりますし、起業直後であれば、大きなコストをかけて広告を出す必要があるでしょう。
だからこそ資金繰り、とくに経費の支払いには敏感になる必要があるのです。
起業直後に黒字倒産するサービス業は数多くあります。そうならないようにするためには、複数の資金調達方法を持っておくことが重要です。
サービス接遇検定資格を活用して起業したい人向けの資金調達方法は次の2つです。
- 日本政策金融公庫の新創業融資
- ファクタリング
日本政策金融公庫の新創業融資
日本政策金融公庫とは、日本政府管轄の金融機関で、おもに融資を扱っている機関になります。日本政策金融公庫には、新しく創業する事業者を支援するための融資制度「新創業融資制度」があります。
新創業融資制度は、起業前もしくは起業直後の事業者に対して、低金利の融資を提供している制度です。限度額も事業資金として最大3,000万円(うち1,500万円は運転資金)まで融資を受けられます。
自己資金のみでは起業に不安があるという場合には、日本政策金融公庫の「新創業融資」を検討してみるとよいでしょう。
ファクタリング
ファクタリングは売掛金を専門業者に売却して資金を得る方法です。金融庁や中小企業庁も奨励している資金調達方法で、ここ数年で一気に知名度が上がりました。
ファクタリングは融資ではないため、将来的な返済負担がありません。融資の場合は、いくら利率が低いからといっても、必ず返済しなくてはなりません。
売掛金を専門業者であるファクタリング業者に売却する際、かならず手数料が発生します。手数料は売掛金総額の5%~30%で、ファクタリング業者や契約方法によって変動します。つまり、売掛金の額面満額を資金化することはできないのです。
売掛金は入金期日に入金されるものです。ファクタリングは入金期日よりも前に資金化できる金融工学になります。そのため、経費の支払い期日が入金日よりもあとになる場合は、ファクタリングを使用せず、売掛金の入金を待ってから支払いを行なうとよいでしょう。
どうしても経費の支払日が入金期日よりも前にあり、なおかつ手元に経費を支払うための資金がなく、売掛金しかないという状況のときに利用した方が得られるメリットは大きいでしょう。
ファクタリングの使いどころをよく考えて利用しましょう。
サービス接遇検定資格で起業する場合は資金問題への対応が不可欠
サービス接遇検定資格を活用して起業する場合、資金問題への対応は必要不可欠です。コンサルタントやサービスアドバイザーのような、仕入れを必要としない業種で起業する場合は、広告費などの経費関連の資金繰り問題は常につきまとうものです。
売上げを上げるための経費なのにかかわらず、その経費を支払うための資金繰りが悪化しては意味がありません。だからこそ、資金繰りは重要になるのです。
資格を活用して起業する場合は、事業資金、運転資金の管理は必須です。どのような状況になっても対応できるように、複数の資金調達方法を確保しておくとよいでしょう。