通販エキスパートは、フリーマーケットサイトなどインターネットを利用し通販をする上で必要な知識を得ることができ将来的に通販コンサルタントとして独立することも可能な資格です。
サイトに商品をアップして販売するだけではなく、法律やマーケティング知識を習得した状態でフリマサイトを活用することができるため、他の人たちに差をつけるための技術や知識を身に付けることが可能です。
ここでは「通販エキスパート」の資格についてお話ししていきたいと思います。
通販エキスパートとはどんな資格なの?
通販エキスパート資格とは、通信販売における基本的な業務知識や広告・マーケティング戦略、通信販売に関する法令などを学び、通信販売のスペシャリストを目指すための資格です。
資格の認定元は「一般社団法人通販エキスパート協会」(以下協会)です。
フリマサイトで商品を販売するためには、商品によって取得が必要な資格や届け出があります。また、販売ページに掲載できる文言などにもルールが設けられているものもあります。そのようなルールを学びながら、実務に活かせる資格が「通販エキスパート」なのです。
どのように資格を取ったらいいの?
オンライン受験できるものと、実際に試験会場に行って受験できるものの2種類があります。
資格の種類は3級~1級までに加えて、スペシャリストコースである「カスタマー・セントリシティ」と「通販CXマネジメント」を含めた全部で5種類。
3級と2級、通販マネジメントはオンラインでの試験が可能です。1級、カスタマー・セントリシティは実際に試験会場に足を運んで試験を受ける必要があります。
資格取得費用は?
資格試験対策の公式テキストが協会経由Amazonで販売されています。
- 3級:2,200円(税込)https://www.amazon.co.jp/dp/4991097924/
- 2級:3,024円(税込)https://www.amazon.co.jp/dp/4991097916/
- 1級:2,750円(税込)https://www.amazon.co.jp/dp/4991097908/
- カスタマー・セントリシティ:2,750円(税込)https://www.amazon.co.jp/dp/4991097932/
各資格の受験料は以下です。
- 3級 :6,000円(税込)
- 2級 :7,800円(税込)
- 1級 :8,500円(税込)
【スペシャリストコース】
- カスタマー・セントリシティ:8,500円(税込)
- 通販CXマネジメント※新設:11,000円(税込/テキスト代込)
支払い方法はクレジットカード決済、コンビニ決済、Pay-easy(ペイジー)決済が選べます。3級のオンライン受験のみクレジット決済のみになります。
資格取得に必要な講座の受講はある?
資格取得のために講座の受講が義務付けられているわけではありません。
自分で学習して資格を取得できます。協会が定期的に開催しているセミナーの受講も可能です。試験対策セミナーもありますし、資格を活かしたキャリア形成の仕方などの実務的なセミナーも開催されています。
資格試験の出題形式と合格発表について
出題形式は4択式100点満点になります。各資格の合格基準は以下です。
- 3級テスト会場受験:100問60分:70点以上で合格
- 3級オンライン受験:eラーニング+項目テスト合格後、本試験100問:60分:70点以上で合格
- 2級テスト会場受験:100問:60分:70点以上で合格
- 2級オンライン受験:eラーニング+項目テスト合格後、本試験100問:60分:70点以上で合格
- 1級テスト会場受験:50問:60分:70点以上で合格
【スペシャリストコース】
- カスタマー・セントリシティテスト会場受験:50問:60分:70点以上で合格
- 通販CXマネジメント ※オンラインのみで実施:eラーニング+項目テスト合格後:本試験100問:60分:70点以上で合格
資格取得で得られるメリットはお客様からの信頼だけ?
コロナ禍がはじまった2020年。マスクの品薄で多くのフリマ出品者がマスクを販売しました。その後政府がマスクの販売に規制をかけ、フリマ=怪しい出品者が多いというイメージがついてしまったのは記憶に新しいことでしょう。
ほとんどのフリマ出品者は手軽にフリマサイトで商品を販売できる=簡単に稼げると考えていますが、実際にはそのようなことはありません。商品によっては所轄の警察署に届け出が必要なものもありますし、薬事法などのルールを守らないと罰則を与えられる可能性もあるのです。
通販エキスパートは資格である一方、通販に必要な知識を学べます。知識を活かして出品するだけで他の出品者にお客様からの信頼面で差をつけられるでしょう。
また、マーケティングなどの専門的な知識を身に着けられることで、より利益に結びつきやすい商材の選定などもできるでしょう。
独立することもできるの?
通販エキスパートの資格は独立するのにも役立ちます。
この資格を活用して独立する場合には主に2つの道があります。1つは販売者として、もう1つはコンサルタントとしてです。
通販を本格的にやるなら店舗を構えることも検討しよう
通販なのに店舗?と思うかもしれませんが、手広くやるなら拠点は確保しておく方が無難でしょう。
商品を保管しておくのに自宅の1室で足りるようであれば店舗は必要ありませんが、そうで無い場合は個別に事務所や倉庫を用意しておく必要があるでしょう。
通販を行う場所はネットフリマ以外にもたくさんあります。大手のAmazonや楽天といったサイトに事業者として登録できます。
もし大手サイトを活用して多くの商品を扱う場合は、在庫を1人で管理するのは大変な作業になるでしょう。事業規模が大きくなれば、在庫管理を担当するスタッフやサイトごとに対応するスタッフなど、個別に従業員を雇う必要に迫られることもあります。
取引先を持つ場合
通販だからといって、顧客がすべて一般の消費者とは限りません。自分のライバルとなる通販業者も顧客になり得ます。つまり、通販で商品を販売するのではなく、商品の仕入元、仲介業者になることも1つのキャリアになります。
卸売業者になるためには、取引先を作らなくてはなりません。その際に、このような資格があることで、製造元メーカーからの信頼度も高くなるでしょう。製造元との交渉をスムーズにするためにも通販エキスパート1級や通販CXマネジメントといった、上位資格の取得にチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
コンサルタントとして独立する場合
通販エキスパートの資格取得で得た知見を武器に、通販コンサルタントとして独立するのも1つのキャリアです。コンサルタントとは、その業種のスペシャリストの立場から事業に対してアドバイスやサポートをする仕事です。
コンサル業は単価が人によって異なるものです。1社あたり年間契約で100万円以上のコンサル料金を稼ぐ人もいれば、300万円、400万円稼ぐ人もいます。
契約方法によって報酬は変わるものの、契約次第では通販エキスパート、通販コンサルだけで十分に独立できると言ってもよいでしょう。
また、近年は個人間販売が一般的な商取引として認知されつつあります。通販コンサルそのものがまだ少ないため、競合も少ないという点もメリットです。
事業者として独立する場合に壁となる「事業資金」
事業者として通販を生業にする場合、どうしても発生するのが「事業資金」の問題です。
在庫を仕入れるためのお金や事務所を借りるためのお金、従業員の給料など、事業として成立させるためには多くの経費がかかるものです。
通販だけを事業にする場合は店舗の内装などに費用をかけることも無いため、一般の小売業に比べて事業資金は低くなります。ただし、あくまでも一般の小売業に比べて低いだけであって、事業資金そのものは扱う商品や目標とする事業規模に応じて大きく変動するでしょう。
通販をメインとするのなら、他業種に比べると小さい資金でも始められやすい。ただし規模を大きくするのであれば、資金調達は必要不可欠となるだろう。
事業資金は無くなってからの調達はハードルが高い
起業したばかりの事業者に対して、民間の金融機関からの融資は難易度が高くなりがちです。スタートアップ融資などもありますが、審査が厳しいため、まず受からないと考えるべきでしょう。
行政からの補助金や助成金であれば、交付要件さえ満たしていれば、起業したての事業者であってもお金を手に入れられます。手持ちの資金だけで起業できない、もしくは起業してもすぐに立ち行かなくなるという場合には、行政からの補助金や助成金を活用することも1つの手段として覚えておくとよいでしょう。
起業したて、もしくはこれから起業を目指しているならば「日本政策金融公庫の創業支援・創業融資」の申込を検討してみましょう。新規事業者に人気の資金調達方法です。
参照 日本政策金融公庫の融資審査 審査を通すための3箇条を解説
実際に補助金や助成金を上手に活用している通販業者もいます。ほかにも銀行との交渉を上手に行って資金を調達するといった事業者もいます。自分の交渉力に自信がない場合は、経営コンサルタントのような、企業支援のスペシャリストに資金調達を手伝ってもらうことも検討しておきましょう。
通信卸業者の場合は掛け取引が事業資金を圧迫する可能性大
通信販売で卸業者を選択した場合、商品を納品してから代金を受け取るまでに時間が空いてしまうことがあります。最近では卸売り業者だけの通信販売サイトでも、顧客側が「掛け取引」を選択できるようになりました。
サイトに代金を支払い、サイトから業者に対して決まった日付に入金されるという仕組みです。商品の種類にもよりますが、取引金額が高額な場合、代金の受取までの期間(支払いサイトと呼びます)が長いことで資金不足に陥ってしまうことも考えられます。
掛け取引で資金不足に陥らないためにもさまざまな資金調達方法を知っておくとよいでしょう。通信販売業で利用しやすい資金調達方法は次の2つです。
通販業の支払いサイトの長さを短くするために、売掛金を売却するファクタリングを活用することで、事業資金不足になることは少なくなるはずです。
経済産業省などで実施している補助金事業はIT関連の事業者に対するものが多いです。通販業のメインとなる売り場はインターネット上であることを考えれば、IT補助金を申請さえすればスムーズに認可される可能性が高いでしょう。
資格取得後の起業時には、資金関連の問題や不安をクリアにしておくとよいでしょう。
「通販エキスパート」の資格は将来性がある
通販エキスパート資格は知名度があまりない資格ですが、将来性のある資格といえます。
昨今のフリマアプリにおける問題などから、顧客側の見る目もかなり厳しくなっています。そのことを考えれば、資格を取得し法律などの知識を蓄えておくことは決して無駄ではないはずです。
副業として通販業を行っているならば、将来的なキャリア形成にも活かせるでしょう。また、もし現在在籍している会社が販売業なのであれば、キャリアアップにも役立つかも知れません。
はじめのうちは小さい規模でビジネスを行い、売上げが安定してきたり、業務の進め方に慣れてきたころに独立を目指すという方法もあります。
独立後に訪れるであろう資金不足に対する知識を蓄えながら、将来のキャリアアップ、キャリア形成のためにも資格取得をしておくとよいでしょう。