ファクタリングは「やばい」「怪しい」といったイメージを持たれることがありますが、これは一部の悪徳業者や、仕組みを正しく理解せずに利用した場合のリスクによるものです。
正規のファクタリング自体は、経済産業省も普及を推奨する合法的な資金調達方法です。
しかし、メリットだけでなく「手数料」、「信用への影響」、「悪質業者」といったリスクやデメリットが存在するのも事実です。
ここではファクタリングを利用する前に知っておくべきリスクと、失敗しないための回避策を徹底解説します。
目次
手数料相場の比較表
手数料は「2社間」か「3社間」かで大きく異なります。リスクを抑えるためにも、以下の相場目安を把握しておきましょう。
| 契約形態 | 手数料相場 | 特徴とリスク |
|---|---|---|
| 2社間ファクタリング | 10%~30% | 取引先に知られないが、手数料が高く利益を圧迫しやすい |
| 3社間ファクタリング | 1%~10% | 手数料は安く審査も通りやすいが、取引先に通知が必要 |
2社間と3社間の違いは簡単にいうと、2社間は「取引先に知らせない方式」、3社間は「取引先に知らせる方式」です。
2社間は資金調達が早い代わりに手数料が高くなりやすく、3社間は手数料が下がりやすい一方で、ファクタリングの利用が取引先に伝わることがあります。

そのため、取引先にファクタリングで資金調達したことが知られない「2社間契約」を希望する事業者が多い。
参照 2社間と3社間の違い
ファクタリングは早く資金を用意できる便利な方法ですが注意点もあります。そのため仕組みや条件をよく理解しないまま使うと、思わぬトラブルにつながることがあります。
ファクタリングのリスクを「手数料・コスト」、「信用・与信への影響」、「トラブル・悪徳業者」の3つの観点から詳しく解説しそれぞれの回避策も紹介します。
ファクタリングのデメリットだけでなく、リスクを抑えて安全に活用するための具体的なイメージが持てるようになるはずです。
ファクタリングのデメリット1:高額な手数料と費用負担
ファクタリングは便利な資金調達方法です。
しかし便利である分、手数料が高くなりやすいという利用者からすると欠点があります。
手数料の高さが利益を圧迫する
ファクタリングは迅速な資金調達を実現しますが、その代償として高額な手数料が発生する場合があります。
一般的には、取引額の10%から30%程度が手数料として差し引かれることが多く、中には40%を超える場合もあります。
この結果、事業者が期待していた利益が大幅に削減される可能性があります。特に、利益率が低い業界においては、この手数料が大きな負担となりかねません。
不透明な費用構造のリスク
一部のファクタリング会社では、契約時に明確な費用説明が行われない場合があります。
その結果、利用者が知らないうちに追加費用を請求されることがあります。
たとえば事務手数料や契約更新費用、債権管理費用などが後から加算されるケースがあります。こうした不透明な費用構造は、利用者にとって予期せぬ財務リスクを生む要因となります。
そのため見積書は、「買取率+手数料+その他費用(事務手数料・登記関連費・債権管理費・振込手数料等)」に分けて提示してもらい、それを複数社で比較し検討してみるとよいでしょう。
コストを抑えるための対応策
複数社を比較する
ファクタリング会社ごとに手数料や条件が異なるため、事前に複数の会社を比較検討しましょう。
詳細な契約内容を確認する
契約書に記載された費用項目を事前に確認し、不明な点があれば質問することが重要です。
交渉する
場合によっては、手数料の引き下げ交渉を行うことも可能です。

ファクタリングのデメリット2:信用・与信への影響
前述の通り、借入ではないため信用情報機関(CIC・JICC・KSC)のデータには記録されません。そのためクレジットカードの審査や個人の住宅ローン審査に直接的に響くことは原則ありません。
しかし銀行融資の審査などでは、決算書や通帳の動きをチェックされます。
ここでファクタリング会社への送金履歴が見つかると、「資金繰りが厳しい会社」、「高金利(高手数料)な調達に頼らざるを得ない会社」とみなされる可能性があり、銀行格付け評価にマイナス要素として働くリスクは否定できません。
信用力低下の可能性
2社間ファクタリングを利用しても債権譲渡登記や通知の運用によっては、ファクタリングの利用が露見する場合があります。そのため与信影響がゼロとは言い切れません。
ファクタリングを利用すると、取引先や金融機関に対して「資金繰りが厳しい」という印象を与える可能性があります。
これは特に中小企業やスタートアップ企業において、取引先の信頼度を損なうリスクを伴います。また、ファクタリングを繰り返し利用することで、企業の経営状況に疑念を持たれる場合もあります。
※ちなみに債権譲渡登記は必須でないケースもありますが、登記した場合は取引先や金融機関にファクタリングを利用したことが知られる可能性があります。登記の要否・範囲は契約書と実務運用を照合して判断し、誤登記がないかも合わせて確認してください。
金融機関への影響
金融機関がファクタリングの利用履歴を確認すると、新たな融資を受ける際に不利な条件を提示される可能性があります。
例えば、「既にファクタリングで資金調達をしている」という事実が、金融機関にとっては経営の安定性に対する不安要素と捉えられる場合があります。
信用への影響を最小限に抑える方法
必要最低限の利用にとどめる
ファクタリングを常用しないほうがよいでしょう。必要な場合に限定して利用することで過度な依存を避けましょう。
資金繰りの計画を明確にする
他の資金調達手段と併用することで、ファクタリングの利用頻度を減らすことが可能です。
取引先との透明なコミュニケーション
ファクタリングの利用意図を正確に伝えることで、取引先の信頼を維持することができるでしょう。
ファクタリングのデメリット3:契約トラブル・悪徳業者のリスク
ファクタリングを利用する際に考えられるトラブルを紹介します。
契約内容に関するトラブル
ファクタリング契約は多くの場合は複雑です。利用者が契約内容を十分に理解していないとトラブルが発生するリスクがあります。
たとえば、債権譲渡の条件や手数料率の変更、返済条件の取り扱いなどが後から問題となるケースがあります。契約内容を正確に把握していないと、想定外の費用負担や法的トラブルに巻き込まれる可能性があります。
※登記が誤っている場合は無効登記となるため、契約情報と登記内容の整合を必ず確認してください。
「ファクタリングはやばい」と言われる原因 悪徳業者の存在
ファクタリング業界の中には悪徳といわれる業者も存在します。不当な条件を押し付けられるリスクがあるのです。

ファクタリングが「やばい」と言われる最大の理由は、ファクタリングを装ったヤミ金融業者(給与ファクタリングや偽装ファクタリング)の存在があるためです。
これらは売買契約を装いながら実質的には違法な高金利で貸し付けを行い、返済が遅れると脅迫的な取り立てを行うケースがあります。
金融庁や消費者庁、国民生活センターもこうした「ファクタリングを装った違法な貸付け」や給与ファクタリングについて高額な手数料・悪質な取立てに関する注意喚起を行っています。(※参照2、※参照3)
- 「手数料」が相場より著しく高い(実質年利換算で数百%になる場合)
- 契約書を作らず口約束で進めようとする
- 担保や保証人を求めてくる(ファクタリングは原則ノンリコースのため不要)
- 会社の実態が不明(固定電話がない、オフィスがレンタルオフィス等)
さらには一般的なファクタリングのほかに、給与ファクタリングというものも存在します。給与ファクタリングは非常にグレーな存在であり、債権買取というよりも実質貸付に該当するとされています。
それはつまり貸金業法に抵触する業者との契約となるため、リスクを避けるためにはそのような会社との取引は避けたほうがよいでしょう。※参照3

これだけは確認!リスク回避のためのチェックリスト
デメリットやリスクを最小限に抑えるために、契約前に以下の項目を必ずチェックしてください。
- 契約書に「債権譲渡」であることが明記されているか(金銭消費貸借契約になっていないか)
- 手数料の内訳は明確か(不明瞭な諸経費が含まれていないか)
- 償還請求権(ウィズリコース)の有無(原則として「無し」が安全)
- 契約書の控えは必ず渡されるか
- 担当者の対応は丁寧か、質問に明確に答えてくれるか
トラブルを避けるための対応策
信頼性の高い業者を選ぶ
業界内での評判や口コミを確認し、信頼性のあるファクタリング会社を選びましょう。
契約書の内容を専門家に確認してもらう
契約内容が複雑な場合、弁護士や専門家に相談して問題点を把握することが重要です。
悪徳業者を見極める
過剰な広告や不自然な営業活動を行う業者には注意が必要です。
リスクを理解した上での適切な利用
ファクタリングは迅速な資金調達手段として魅力的ですが、リスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
具体的には手数料の比較や信用情報への配慮、信頼性の高い業者の選定などが重要なポイントとなります。
またファクタリングに頼りすぎず、資金繰りの多様な選択肢を検討することも長期的な経営安定につながります。これらの対策を講じることで、ファクタリングをより安全かつ効果的に活用できるでしょう。
くれぐれもファクタリングへの依存は避けましょう。手数料が大きいということは、本来入ってくるはずの売掛金の金額がその分削られるということです。
ファクタリングは一時的な資金繰りの悪化を乗り切る手段としては有効ですが、常用利用は経営悪化をいずれ招く可能性があります。根本的な資金ショートの原因(利益率・固定費・取引条件など)を見直しつつ、他の資金調達手段も併用することが重要です。
ファクタリングを利用すると銀行融資に影響しますか?
信用情報機関には登録されませんが、通帳履歴等で銀行に利用が知られた場合、資金繰りを懸念され審査にマイナスの影響を与える可能性があります。
ファクタリングが「やばい」と言われる理由は?
ファクタリングを装った違法なヤミ金業者が存在するためです。また、高額な手数料で資金繰りが悪化するリスクがあることも理由の一つです。
ファクタリングの最大のデメリットは何ですか?
最大のデメリットは「手数料の高さ」です。銀行融資よりもコストが高いため、長期利用は経営を圧迫するリスクがあります。
ファクタリングのリスクは主に何ですか?
主なリスクは「高い手数料で資金繰りが悪化すること」、「取引先や金融機関からの信用に影響が出ること」、「違法・悪質な業者と契約してしまうこと」の3つです。それぞれの内容を理解し事前に対策しておけば、リスクを大きく抑えることができます。
ファクタリングが「やばい」と言われるのは違法だからですか?
正規の事業者によるファクタリング自体は違法ではなく、公的機関も売掛債権の流動化による資金調達を支援しています。ただし高額な手数料や「ファクタリングを装った貸付」、「給与ファクタリング」など違法なスキームには公的機関から注意喚起が出ており、こうした事例が「やばい」というイメージの原因になっています。
ファクタリングのリスクを抑えるために業者選びでチェックすべき点は?
手数料の総額・内訳が明確か、契約書の内容が理解できるか、会社情報(所在地・代表者・問い合わせ先)がはっきりしているか、公的機関や業界団体からの注意喚起対象になっていないか、といった点をチェックしましょう。複数社から見積もりを取り、極端に条件の悪い業者を避けることも大切です。
































