事業資金の調達を検討しているが、必要な書類(決算書、確定申告書など)が不足している個人事業主や中小企業経営者、または創業間もないため、十分な財務書類が整っていない事業者の方々に向けて、書類不足の状況でも利用可能な資金調達方法とその具体的な手段、注意点について解説します。
大前提として、書類が足らない状況で資金調達することは極めて困難です。
理由は簡単です。「資金を必要とする側」と「資金を供給する側」は知り合いでもなんでもなく、その間に信頼関係が全くない状態だからです。
目次
書類が足らなくても利用可能な資金調達方法
必要書類が不足している状況でも、または不足している書類の種類によっては、あくまでも可能性として利用可能な資金調達方法には、以下のようなものがあります。
ファクタリング:売掛金を現金化する方法
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を専門の業者に売却し、早期に現金化する資金調達方法です。
この方法は、場合によっては決算書や確定申告書が不要となるケースもあるとされています。重要なのは売掛先の信用力であるためです。
そのため、起業して間もない事業者は決算書や確定申告書がないため、その状態でも利用できる可能性があります。
ビジネスローン:決算書不要で利用可能なローンの紹介
一部の金融機関やノンバンクでは、決算書や確定申告書がなくても利用できるビジネスローンを提供しています。
これらのローンでは、事業計画書や代表者の個人信用情報など、他の書類で代替することが求められる場合があります。金利や返済条件は各金融機関によって異なるため、事前に詳細を確認することが重要です。
クラウドファンディング:インターネットを通じて資金を集める方法
クラウドファンディングは、インターネット上で多数の人々から資金を募る方法です。事業のアイデアやビジョンを魅力的に伝えることが重要であるため、一般的な資金調達で必要となる書類は必要とならないケースが多いです。
ただし、プロジェクトの信頼性を高めるために、事業内容や計画を詳細に説明することが求められます。
リースバック:所有する不動産を売却し、賃貸として利用し続ける方法
リースバックとは、企業が所有する不動産を売却し、その後も賃貸契約を結ぶことで引き続き利用しながら資金を調達する方法です。
つまり価値のあるものを売却する方法であるため、売却する物の価値を証明さえできればよいのです。
売却後は賃料が発生することになるため、長期的な資金計画が必要となるでしょう。
資金供給側が求める書類はすべて提出する必要がある
さまざまな資金調達方法はありますが、そこには「資金を必要とする側」と「資金を供給する側」が存在します。
互いの合意の下で資金調達が完了するわけですが、どちらか一方が条件をのめなければ資金調達はできなくなります。
とくに資金調達というシチュエーションでは、「資金を提供する側のルール」に沿わなければ、契約合意に至ることは難しいでしょう。
資金供給側のリスク
資金供給側には大きなリスクがあります。
「どこの誰かもしれない人にまとまったお金を渡すため」です。
たとえるなら、道ですれ違った人から資金調達したいと話しかけられているのと大差ないのです。
お金を持っていたとしても、そのような状況で渡す人はいるでしょうか?まずいないでしょう。お金が戻ってこない可能性が高いと容易に判断できるためです。
ところが、その人の情報を詳しく知りえる公的な文章を持っていて、さらにその人の事業の売り上げなどを証明できる資料を複数持っている場合には話は変わってくるかと思います。
ルールを決めるのは資金提供側
資金調達の際にルールを決めるのは資金提供側です。
日本には昔から「お客様第一主義」の考えがあります。「お客様は神様だ」という言葉も聞かれるほどです。
そのため、「サービスを利用する側が偉い。主導権がある。」と勘違いをしてしまう人もいます。
しかしそれは少なくても資金調達のシーンでは適応されません。
資金供給するから商売になる事実 しかし
銀行もファクタリング会社も、そしてクラウドファンディングであっても、利用者がいるから成り立っている商売です。
しかし彼らにとってすべての利用者が好ましいお客となるとは限らないのです。
たとえば銀行は利息商売です。ファクタリングは手数料商売です。どちらもはじめに事業者に対し自分のお金を渡している形となります。
違った考え方をすると、お金があるからできる商売でもあります。
しかし渡したお金が戻ってこない可能性があるのなら、渡すことはしないでしょう。それを判断するのがさまざまな書類です。
「求めている書類を提出できない=信用できない=お金が戻ってこない可能性がある」
という構図となるのです。
求められる書類を提出できないなら探し続けるしかない
資金提供側が求める書類というのはそれほど難しいものではありません。
ほとんどすべての事業者は揃えることができます。
ほとんどすべての事業者が揃えられるはずの書類を揃えられない・・・ということであれば、誰もが警戒をするのです。
そしてそういった人たちをお客としなくても、銀行もファクタリング会社も他にお客はいます。そのため変なリスクを負ってまで書類を揃えられない人を相手にはしないのです。
よってもし資金調達をしたいのであれば、資金提供側のルールには沿うしかありません。