黒字倒産とは、利益が出ているのに資金が不足して倒産に至る状態です。
防ぐためには「キャッシュフロー重視の資金管理」と「売掛金回収の徹底」が必須です。とくに資金繰り表を作り、現金の流れを把握することが最重要です。
目次
黒字倒産とは?なぜ利益が出ていても倒産するのか
黒字倒産は、「利益」と「現金収支(キャッシュフロー)」のズレによって発生します。
とくに中小企業は資金管理が甘く、売掛金回収遅延や支払サイトのズレで倒産に至るケースが多いです。
黒字倒産の定義
会計上の黒字とは、「売上から経費を差し引いた利益がプラスである状態」です。
しかし、利益が出ていても手元に現金がなければ、支払いができず倒産に陥ります。
これが「黒字倒産」です。
黒字倒産の主な原因
- 売掛金の回収遅延
- 支払サイトと入金サイトのズレ
- 在庫過多による資金固定
- 急激な売上増加による運転資金不足
黒字倒産の発生状況(データ)
2023年のデータでは、休廃業・解散企業における黒字割合は、中規模企業であれば55.8%、小規模事業者であれば49.6%とされている。
つまりこれは、利益が出ているにもかかわらず、資金繰りや後継者問題などの理由で事業を停止する企業が多いことを示しています。
黒字倒産を防ぐための3つの基本戦略
黒字倒産を防ぐには、「資金繰り表の作成」「売掛金回収の徹底」「事前の資金調達枠確保」の3つが必須です。
① 資金繰り表を作成する
資金繰り表とは、一定期間(通常は月単位)の「入金」と「出金」を一覧にした表です。
これを作成することで、将来の資金不足リスクを事前に把握できます。
資金繰り表の例
入金:売掛金の回収、借入金、その他収入
出金:仕入れ、人件費、家賃、税金、借入返済
② 売掛金の回収管理を徹底する
売掛金回収遅延は黒字倒産の最大リスクです。
具体的な対策
- 請求書の即日発行
- 支払いサイト短縮の交渉
- ファクタリングの活用(最終手段として)
③ 資金調達手段を事前に確保しておく
資金ショートを起こしてからでは、金融機関の融資審査は厳しくなります。そのため使わなくても借入枠(与信枠)を確保しておくことが重要です。
方法
- 信用保証協会付き融資の事前申し込み
- 事業者ローンの与信枠設定
- ファクタリング契約の準備
経営者が陥りやすい「資金管理の落とし穴」
売上重視の経営は黒字倒産のリスクを高めます。とくに「売上増加に伴う資金ショート」と「税金支払い資金の確保漏れ」に注意が必要です。
売上成長による資金ショート
売上が急増すると、仕入れや人件費の支払いも増えます。
しかし、売掛金の入金タイミングが遅れれば、成長倒産(急成長による資金ショート)が発生します。
税金納付資金の確保漏れ
利益が出ると法人税や消費税の支払い義務が発生します。税金分の現金をあらかじめプールしておくことが重要です。
まとめ:黒字倒産は「キャッシュフロー経営」で防ぐ
黒字倒産を防ぐには、資金繰り表による資金管理、売掛金回収の徹底、借入枠確保の3つが不可欠です。
経営者は「利益」ではなく「現金の流れ(キャッシュフロー)」を重視する経営感覚を持たなければなりません。